日本の難民申請制度を徹底解説

話題

〜3回目以降の申請制限と世界との比較、そして現実に起きた事例から考える〜

はじめに

日本で暮らす私たちにとって「難民」という言葉は、テレビや新聞で耳にする機会はあっても、どこか遠い世界の出来事のように感じられることが多いかもしれません。

しかし実際には、日本にも多くの外国人が難民申請を行い、その制度を通じて滞在しています。

ここ数年、日本では 「難民申請の濫用」 が社会問題となり、2023年には入管法が改正され「3回目以降の申請には送還停止効を認めない」という仕組みが導入されました。

なぜ日本はこうした制度に踏み切ったのでしょうか?

そして、世界の制度と比べると日本は厳しいのか、それとも妥当なのか。

この記事では、

  • 難民申請の基本的な仕組み
  • 3回目制限の理由
  • 世界の制度との比較
  • 実際に日本で起きた事例
  • 日本の制度が世界からどう評価されているか

を初心者でもわかりやすく整理していきます。

第1章 日本の難民申請制度とは?

1-1 難民申請の目的

難民申請は、母国で政治的迫害・宗教的差別・戦争などにより生命や自由が脅かされる人を国際的に保護するための仕組みです。

日本も1951年の「難民条約」と1967年の「難民議定書」に加盟しており、この国際ルールに基づいて制度を運用しています。

1-2 日本の難民申請の流れ

  1. 入国後、出入国在留管理庁(入管)に申請
  2. 一次審査(書類・面接)
  3. 不認定の場合は異議申し立て(二次審査)
  4. それでも不服なら裁判へ

1-3 審査期間と滞在資格

  • 審査は半年〜数年に及ぶことも多く、平均して 2〜3年の滞在 が可能になる。
  • 審査中は「特定活動」という在留資格が与えられ、6か月経つと就労許可が下りる場合がある。
  • 国民健康保険に加入できる場合もあり、日本人と同じように医療を受けられる。

第2章 「3回目以降は原則ダメ」の意味

2-1 制度改正前の問題

以前は「申請すれば必ず送還停止効がかかる」仕組みだったため、強制送還直前に難民申請を繰り返すケースが後を絶ちませんでした

一部の人は 10回以上申請して滞在を延ばす という事例も報告されています。

2-2 2023年入管法改正

こうした濫用を防ぐために導入されたのが 「3回目以降の申請は原則送還停止効なし」 というルールです。

ただし、新しい証拠や事情がある場合は例外的に審査対象になります。

2-3 なぜ「3回」なのか?

  • 1回目:本当に迫害を受けている人を救うための基本審査
  • 2回目:初回で証拠不足だった人に再提出の機会を与えるため
  • 3回目以降:新しい証拠がなければ濫用と判断

つまり、人道的配慮と制度悪用防止の「線引き」が3回目に置かれたのです。

第3章 世界の難民制度との比較

国名再申請の回数制限特徴
日本2回目までは原則審査対象。3回目以降は送還停止効なし(新証拠あれば例外)。明確に「3回」と法律で線引き。
ドイツ再申請は可能だが「新しい証拠」が必須。形式的に同じなら即却下。内容重視。無制限だが実質は1回勝負。
フランス再申請可。ただし新しい要素が必須。新証拠がなければ不受理。日本より柔軟。
アメリカ原則1回のみ。再申請は「状況の変化」がある場合に限られる。世界でも特に厳格。

まとめ

  • アメリカ型:再申請ほぼ不可 → 超厳格
  • ヨーロッパ型:再申請は可能だが新証拠が必須 → 柔軟
  • 日本型:3回まで認める → 「回数制限」で線を引いた独自方式

第4章 実際に起きた事例

  • 難民申請中に長期間滞在:中東出身の男性が複数回申請し、5年以上日本に滞在。最終的に認定はされず帰国。
  • 医療目的で申請:足の痛みの治療を理由に申請したケースが法務省資料に記録されている。難民認定とは関係が薄いが、審査の対象となった。
  • 就労目的の申請:留学ビザ失効後に難民申請を繰り返し、コンビニや工場で働き続けた事例。

これらはメディアや法務省資料に記録されており、「難民申請=本来の趣旨を外れた利用」だと社会問題化しています。

第5章 日本の制度の評価

国際的な評価

  • 難民認定率が 世界最低水準(1%未満)。
  • UNHCRから「門戸が狭すぎる」と批判。
  • 欧州と比べて受け入れ数が桁違いに少ない。

国内的な評価

  • 入管や一部政治家:「制度濫用を防げる」と高評価。
  • 弁護士会や市民団体:「本当に必要な人が救えない」と批判。
  • 国民感情:不法滞在や治安への懸念から規制強化を支持する声が多い。

第6章 制度悪用の他の例

  • 留学ビザ:通学せずに就労目的で利用。
  • 技能実習制度:本来は技能移転目的だが、低賃金労働の温床に。
  • 生活保護:一部の外国人による不正受給が問題化。
  • 医療制度:短期滞在者が国民健康保険に加入し高額医療を受けるケースがあった。

第7章 今後の課題

  • 人道と治安のバランス:迫害から逃れる人を守る使命と、制度悪用を防ぐ責任。
  • 世界からの評価:日本は「受け入れが厳しすぎる」と見られている。
  • 国内の現実:人口減少や労働力不足を背景に、外国人受け入れをどのように進めるか。

結論

日本の難民申請制度は、国際的に見て「厳しい国」と評価されます。

しかし国内では「濫用防止を優先すべき」という声も強く、両者の間で揺れ動いているのが現実です。

「3回目以降は原則不可」という制度は、日本が「人道的配慮」と「濫用防止」の間で下した一つの答えです。

ただし、これが本当に「守るべき人を救えているか」という点は、今後も議論が必要でしょう。

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