―「期待で上がり、現実で下がる」そのメカニズムを徹底解説―
🏁はじめに:今なぜ「金利」が株価を左右するのか?
2025年、日本の株式市場は記録的な上昇を見せています。
高市政権の発足や景気刺激策への期待感、円安効果、
「日本株が復活した」と世界中の投資家が注目しています。
しかしその裏で、じわじわと上がり始めているのが**「金利」*
日本銀行が長年続けてきた超低金利政策を修正し、
投資家たちはこう思っています。
「金利が上がるのは景気が良い証拠。でも、
この問いに答えるために、
今回は「金利上昇(高金利)」が株式市場、
初心者でもわかるように丁寧に解説します。
第1章:金利と株価の関係 ― 基本の「逆相関」ルールを理解しよう
💡株価=将来の利益の“割引現在価値”
株式の理論価格は、企業が将来稼ぐ利益を「いまの価値」
この割引に使われるのが金利。
金利が上がると――
➡ 将来のお金の価値が下がる
➡ 将来の利益を今に換算した金額が小さくなる
➡ 株価は下がりやすくなる
逆に金利が下がると――
➡ 将来のお金の価値が上がる
➡ 株価は上がりやすくなる
この「金利と株価の逆相関」は、
第2章:なぜ今の日本株は上がっているのか?
ここで「え?でも実際には今、株が上がってるよね?」
実はその通り。いま日本株が上昇している理由は、**“
📈短期的に株価を押し上げる3つの要素
- 景気回復期待
高市政権の財政出動、賃上げ、設備投資の増加が“好景気のサイン”と受け止められています。 - 海外資金の流入
円安が続き、海外投資家にとって「日本株は割安」に見えます。
実際、日経平均の半分以上を外国人投資家が取引しています。 - “構造改革”への期待
企業ガバナンス改革・賃金改善・スタートアップ支援など、
「日本が変わるかもしれない」という空気が生まれているのです。
つまりいまの上昇は「現実」ではなく「期待」
この状態はしばしば市場でこう呼ばれます。
『期待で買われ、現実で売られる』
第3章:金利上昇が“現実化”したとき、株価はどう動く?
金利が「予想」から「現実」になったとき、
ここでは、金利上昇が株に与えるマイナス要因を5つ紹介します。
❶ 割引率の上昇 → 株価の理論値が下がる
金利が上がる=企業の将来利益の価値が下がる。
たとえば今後5年間に10億円の利益が出る企業があっても、
金利が1%から2%になるだけで“理論株価”は数%下がります。
❷ 借入コストの増加
多くの企業は、銀行からお金を借りて事業を回しています。
金利が上がれば当然、利息負担も増える。
これが利益を圧迫し、株主還元(配当・自社株買い)
❸ 円高リスク
金利が上がると、外国から見て日本円の魅力が増します。
→ 円買いが進み → 円高になります。
円高になると輸出企業(トヨタ、ソニーなど)の利益が減少し、
株価全体の重しになります。
❹ 安全資産へのシフト
金利が上がると、
「株より安全な国債や定期預金で十分じゃない?」
という投資家心理が働きます。
結果、株式市場から資金が流出しやすくなります。
❺ 景気後退リスク
金利が上がると、企業も個人も“お金を使いにくく”なります。
→ 消費・投資が減る
→ 景気が鈍る
→ 企業業績が落ちる
→ 株価が下がる
これが「高金利の負の連鎖」です。
第4章:「金利上昇→株安」にならないケースもある?
実は、金利上昇が株価上昇につながるケースもあります。
✅ 景気が好調で、金利上昇が“健全な結果”の場合
- 景気回復で企業収益が伸びる
- 雇用・賃金が上がる
- 個人消費が強い
こうした「実体経済が伴う金利上昇」は、
アメリカでも「景気が強すぎて金利が上がる」局面では、
株価も同時に上がることがよくあります。
第5章:日本の特殊事情 ― 「長年の低金利からの転換点」
日本は30年以上にわたり、ほぼゼロ金利でした。
このため「金利が上がる=異常事態」
しかし、これは裏を返せば「ようやく正常化」でもあります。
- 預金金利が上がり、個人消費が回る
- 投資が健全なリスク配分になる
- 為替が安定し、輸入コストが下がる
こうした“健全な高金利化”は、
問題はそのスピード。急激な金利上昇は株式市場を混乱させます。
第6章:データで見る「金利と日経平均の関係」
(※グラフ挿入用案)
| 年 | 日本10年国債金利(%) | 日経平均株価(年末) | 主な出来事 |
| 2010 | 1.17 | 10,228 | 欧州債務危機 |
| 2015 | 0.31 | 18,909 | アベノミクス第2期 |
| 2020 | 0.01 | 27,444 | コロナ禍・金融緩和 |
| 2023 | 0.85 | 33,464 | 日銀YCC見直し |
| 2025 | 1.35(予測) | 38,000超 | 金利正常化・高市政権誕生 |
グラフ化すると、金利が緩やかに上がる時期には株価も上昇し、
急上昇した年は株価が調整する傾向が見て取れます。
第7章:今後のシナリオ予測(2025〜2027年)
| シナリオ | 金利動向 | 為替 | 株価 | コメント |
| 楽観シナリオ | 金利上昇は緩やか、景気堅調 | 円安続く | 日経4万円突破 | 政策・期待が支える |
| 現実シナリオ | 金利1.5〜2%、円高進行 | 140円前後 | 日経3万前半で調整 | 利益確定売り増加 |
| 悲観シナリオ | 金利急騰・世界景気後退 | 円高120円台 | 日経2.8万割れ | 輸出不振・企業業績悪化 |
第8章:投資家が今やるべき3つの行動
① 「期待の上げ相場」に乗りすぎない
短期的な上昇局面では利益確定のタイミングを冷静に見極める。
“期待の波”が去った後の反動を想定しておきましょう。
② 分散と現金比率の確保
高金利時代は「現金・債券」の利回りも魅力的になります。
株100%ではなく、
③ 長期目線で“金利正常化”を歓迎する
日本経済が“成熟”から“成長”に戻るためには、
「金利ゼロ依存」からの脱却が不可欠。
短期的な調整があっても、長期では健全な流れです。
第9章:まとめ ― 高金利は「敵」ではなく「現実」
高金利になると株価が下がる、というのは半分正解です。
ただし、それが健全な景気回復の結果なら、
今の日本株は“期待”で上がっています。
しかし金利上昇が現実化するにつれて、
投資家の目線は「期待」から「実力」へと移るでしょう。
そのときこそ、本当に強い企業と、長期投資家の力が試されます。




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