― ランサムウェア事件の流れと現在の状況をわかりやすく解説 ―
2025年9月末、ビール最大手の アサヒグループ(アサヒビール) が大規模なサイバー攻撃を受けたニュースが大きく話題になりまし
「システム障害で出荷が止まった」
「スーパードライが店から消えてる」
「ランサムウェアって何?」
など、SNSでもかなり混乱が起きました。
この記事では、ITに詳しくない人でもスッと理解できるように、
今回のアサヒのサイバー攻撃について、
- 何が起きたのか
- 会社は今どういう状態なのか
- 個人情報は大丈夫なのか
- 今後どうなるのか
を時系列で、やさしく解説します。
1. アサヒに何が起きたの?「ランサムウェア攻撃」とは
まず今回の事件は、ニュースでもよく出てきた 「ランサムウェア攻撃」 です。
■ ランサムウェアって何?
カンタンに言うと、
企業のパソコンやサーバーに侵入し、
“元に戻してほしければ金を払え” と脅してくるウイルス
です。
- データを暗号化して開けなくする
- データを盗んで「公開されたくなければ金を払え」と脅す
- 支払っても復旧する保証はない
という、非常に悪質なサイバー犯罪です。
今回アサヒを攻撃したとされるのは、
ロシア系のハッカー集団「Qilin(キリン)」。
2. いつ起きた?事件の流れをわかりやすく時系列で
◆ 9月29日:アサヒがサイバー攻撃を公表
アサヒグループHDが
「サイバー攻撃を受け、システム障害が起きています」
と記者会見で発表。
この時点で、
- 出荷システム
- 受注システム
- コールセンター
- 工場の一部設備
が止まり、ビールの出荷がほぼストップしました。
◆ 9月末〜10月上旬:出荷停止、スーパーやコンビニでも品薄に
システムが完全に止まったため、
- 店舗からの注文が受けられない
- 工場の稼働が一時ストップ
- スーパードライなどが品薄状態
という影響が全国に広がりました。
飲食店やスーパーからは、
「ビールが入ってこない!」
「発注システムが使えない!」
という声が相次ぎ、
アサヒの営業担当は 電話・FAX・Excel を使って手作業で受注対応するという “昭和スタイル” に一時的に戻りました。
◆ 10月2日:工場の生産は再開。しかしシステム復旧はまだ
アサヒはセキュリティ対策を進めながら、
まず工場だけ先に稼働を再開しました。
ただし、
- 出荷システム
- 在庫管理
- 受注管理
などの基幹システムは依然ストップしたまま。
そのため 人力でどうにか回している状態 が続きました。
◆ 10月14日:アサヒが「個人情報流出の可能性」を正式に認める
アサヒは第4報で、
「個人情報が流出した可能性がある」
と発表。
ただし、
- 誰の情報が
- どれくらいの量が
- どんなデータが
という詳細は現在も調査中。
流出が確認された人には 個別に連絡する としています。
3. 流出した可能性がある情報は?
現時点で公表されている内容では、
● 社内文書
● 従業員関連の情報
● 取引先の基本情報
● 一部個人情報(氏名・連絡先等)
などが含まれている可能性があります。
■ クレジットカード情報は?
今のところ、
クレジットカード番号など決済情報が漏れたという発表はない
という状況です。
「絶対に安全」とも言っていないので、
調査が終わるまでは様子見、という状態です。
4. 会社の今の状態(2025年11月時点)
では、今のアサヒはどうなっているのか?
ざっくりいうと、
完全復旧ではないが、ビールの出荷はほぼ戻ってきている状態
です。
■ 売上はどのくらい回復?
- 9月は「月末に事件が起きた」ため影響は限定的
- 10月は 売上が前年の9割程度まで回復
- 最終週は前年比8割まで戻ってきた
という発表があります。
ただし、これは “金額ベース” であり、
注文処理はまだ手作業が多く、業務負担が非常に大きい状態です。
5. アサヒの中では何をしているの?
アサヒは以下のような対策を進めています。
■ ① 緊急対策本部を設置
サイバー攻撃が判明した当日に設置。
■ ② 外部の専門家と連携して調査
- 流出データの分析
- 被害範囲の洗い出し
- システムの安全性確認
などを専門家に依頼しています。
■ ③ システムを急ピッチで再構築中
いきなり全システムを動かすと再感染のリスクがあるため、
- 工場
- 出荷
- 受注
と段階的に復旧を進める方式を取っています。
つまり、
「急いで全部直す」より「安全を確保しながら段階的に直す」 ことを重視した復旧方針ですね。
6. 消費者として気をつけること
アサヒ製品を買ったことがある人は多いと思いますが、
注意すべきポイントもあります。
■ ① アサヒからの「正式な連絡」以外は無視する
今後、
- 「情報流出のお知らせです」
- 「補償金を受け取るにはこちらへ」
などの 偽メール(フィッシング詐欺) が増える可能性があります。
怪しいURLは絶対押さないことが大事です。
■ ② アサヒ関連のアカウントのパスワード変更
もし以下のようなサイトに登録しているなら、
- アサヒのキャンペーン応募
- アサヒダイレクトEC
- 会員サイト
念のため パスワード変更 をしておくと安心です。
■ ③ パスワードの使い回しをやめる
これを機に、
「どのサイトでも同じパスワード」
という状態をやめるのがベストです。
7. 今後どうなる?復旧の見込み
現時点では、
「いつ完全復旧するか」アサヒはまだ発表していません。
理由は、
- システムが大規模すぎる
- 復旧には安全性の検証が必須
- 流出データの分析に時間がかかる
- ランサムウェアの性質上、完全消去が難しい
といった事情があるためです。
ただし、
工場はすでに完全稼働しており、出荷もほぼ正常化 しているので、
まとめ:アサヒのサイバー攻撃は「回復中だが完全復旧前」
最後にポイントをまとめます。
■ 今回の攻撃の正体
ロシア系とされる「Qilin」によるランサムウェア攻撃。
■ 影響
- 出荷・受注システムが停止
- 工場停止
- スーパードライが品薄に
- 受注は手作業に逆戻り
■ 個人情報
「流出の可能性あり」と公式発表
→ 調査中、対象者には連絡予定
■ 現在
- 工場は全稼働
- 出荷はほぼ正常
- 売上は約9割まで回復
- システム完全復旧はまだ先
■ 消費者が気にすべきこと
- 偽メールに注意
- パスワード変更
- 公式発表を確認




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