【保存版】殺人事件は本当に増えている?行方不明者はどうなっている?—最新データで読み解く日本の「体感不安」と現実

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ニュースやSNSを見ていると「最近は物騒だ」「殺人事件が増えている」と感じる人は少なくありません。同時に、行方不明者の報道を目にする機会も増え、「日本は安全なのか?」と不安になることも。

本記事では、殺人事件と行方不明者を同時に扱い、「体感」と「実態」をデータで丁寧に仕分けします。さらに、なぜそう感じるのかという情報環境の要因、そしていま私たちにできる予防と対策まで、実務的に役立つ形でまとめました。

第1章 「殺人事件は増えている」の真偽

1-1 統計で見る最新状況:件数は“微増/横ばい”、長期では低水準

2023年の主要犯罪(強行犯)では、殺人件数は912件と前年からわずかに増加しました。ただし、長期トレンドで見ると日本の殺人は国際的にも低水準で、過去数十年で見ると減少傾向を維持しています。主要犯罪全体がコロナ禍前の水準に近づいた背景には、人流回復なども影響したと警察庁はみています。

  • 参考:2023年の主要犯罪は前年比29.8%増(強行犯の一部カテゴリが増)。殺人は912件、強盗1,361件など。
  • 国際比較指標(故意の殺人発生率/10万人)は日本が世界でも低位のグループ。

1-2 「増えたように感じる」3つの理由

  1. 露出増:テレビ・ネットが“センセーショナルな事件”を反復的に報じる
  2. SNS速報:事件の発生から詳細拡散までの速度が加速
  3. 社会文脈:景気不安・孤立・メンタルの問題など、事件に接続しやすい文脈が強調され記憶に残りやすい
    このため、「体感」と「統計」がズレやすくなります。

第2章 行方不明者はどう推移しているのか?

2-1 全体件数:近年は“8万人前後”、コロナ後に持ち直し

行方不明届の受理件数は長年8万人前後で推移。2020年にいったん減少した後、2022年に84,910件と増加。2023年も高水準で、構造的には「高止まり〜緩やかな増加」の局面にあります(詳細は年度ごとの警察庁資料参照)。

2-2 認知症関連が牽引:2023年は

19,039人

で過去最多

特に注目すべきは認知症・認知症疑いによる行方不明。2023年は19,039人で、統計開始(2012年)以来の最多を更新しました。80歳以上が過半を占め、高齢化の進展が数字を押し上げています。2024年は18,121人とやや減少したものの、依然として非常に高い水準です。

ポイント

・2023年:19,039人(最多更新)

・2024年:18,121人(前年比918人減、ただし高水準)

=「高齢化」と「在宅生活の一般化」が背景にあると考えられます。

2-3 若年層の特徴:10〜20代で件数が多い

若年層の行方不明には家出・進学/就労ストレス・家族関係の不調和などが背景に挙がります。統計上も10代・20代の層が大きな割合を占める年が続いています(年度・集計により比率は変動)。

第3章 「人身売買リスク」はどの程度あるのか?

3-1 統計上は少数だが、ゼロではない

日本は人身売買の被害認知件数が国際的に見て大規模ではないものの、労働・性的搾取を中心に一定の発生は確認されています。UNODC(国連薬物犯罪事務所)の2024年報告でも、日本を含む東アジア・太平洋地域における取締・被害構造が整理されています。

3-2 行方不明と人身売買の接点

  • 未成年・若年層:SNSでの“スカウト”や生活困窮につけ込んだ誘引
  • 経済的困難層:違法就労や性的搾取への誘導
  • 海外渡航を伴う事案は相対的に少数だが、国内搾取が人身売買に該当する場合がある
    被害の“見えにくさ”から、統計に現れにくい潜在被害の可能性も常に念頭に置くべきです。

第4章 「体感治安」を悪化させる情報環境

4-1 視聴・クリックが集まる構造

ニュース配信は“クリックを促す”見出しや“続報連投”で同一案件の露出が増幅し、実数以上に「頻発している」印象を与えます。

4-2 SNSがもたらした“即時・多重露光”

X(旧Twitter)等による現場映像・関係者投稿の拡散で、一件の事件が時間差で何度も視界に入るようになりました。これが“増えた感”の実体です。

第5章 実務で役立つ:予防・備え・早期対応

5-1 殺人事件の予防・抑止に直結するわけではないが、私たちができること

  • DV・虐待・ストーカーの早期相談(警察・配偶者暴力相談支援センター・民間窓口)
  • 近隣での**不穏な兆候(怒号、破壊音、脅迫)**は迷わず110番
  • 職場・学校での孤立者のサイン(欠勤・不穏言動)にアンテナを張り、支援窓口に繋ぐ

5-2 行方不明を防ぐ・早く見つける

高齢者(認知症の不安がある方)

  • 徘徊予防の見守り:GPSタグ/ビーコン、QRコード付き靴・衣類、自治体の見守りネット登録
  • 家族間の合意:外出時間・行き先メモ・緊急連絡網
  • 自宅環境:玄関センサー、夜間の外出を感知するアラーム
    → 2023年・2024年の数字からも、認知症関連が最大の課題です。

未成年・若年層

  • SNS上の勧誘(高収入バイト・住み込み・「すぐ稼げる」)への啓発
  • 学校・家庭での相談動線の明確化(スクールカウンセラー、児相、NPO)
  • 金銭トラブル(消費者金融・闇バイト)への早期相談

在留・旅行者

  • 外国籍の家族・友人が行方不明になった場合は**最寄りの交番/警察署へ直行して「行方不明届(行方不明者届)」**を。監視カメラ映像や通信記録の扱いには法的制約があるため、早い通報が鍵です。

5-3 いざという時の初動チェックリスト

  1. 最後に目撃/連絡を取った日時・場所を記録
  2. 服装・所持品・スマホ機種・バッテリー残量の情報を整理
  3. **立ち寄り先候補(勤務先、学校、友人宅、病院)**を洗い出し
  4. **顔写真(最近のもの)**をすぐ提示できる状態に
  5. 警察への届け出+自治体の見守りネット等に登録
  6. 必要に応じて民間の捜索支援(地域ボランティア、探偵会社)と連携

第6章 自治体・地域・企業ができること

  • 地域見守り網の整備:商店街/自治会での見守り協定、徘徊SOSメールの運用
  • 学校・PTA:SNSリテラシー教育、闇バイト勧誘の見分け方
  • 企業:従業員支援(メンタルヘルス窓口、カサハラ/モラハラ防止)、育児・介護の柔軟制度
  • 行政:認知症高齢者の早期発見に資するウェアラブル助成や広域連携の強化(所在確認は「受理当日」に集中する統計—初動の重要性が裏づけ)。

第7章 まとめ:数字は「冷静」、体感は「過熱」—見極める力を

  • 殺人事件:2023年の912件は“微増”だが、長期で見れば低水準を維持。体感増の主因は情報環境にある。
  • 行方不明者:全体は8万人前後で高止まり。中でも認知症関連が最多更新(2023年19,039人)→2024年も18,121人と高い水準。高齢化と若年層の家出・SNS勧誘が大きな柱。
  • 人身売買:統計上は多数を占めないが、ゼロではない。未成年・困窮層は留意を。

「怖さ」の印象だけに流されず、最新データと初動の備えで“守れる命”を増やす。これが、本記事の結論です。

参考・根拠(主要ソース)

  • 警察庁「行方不明者の状況」各年:2023年(R5)・2024年(R6)(PDF)
  • Nippon.com「Reported Crime in Japan Rises to Near Pre-Pandemic Level in 2023」(2024/3/12)
  • 世界銀行データ(UNODC由来)「Intentional homicides(Japan)」
  • UNODC『Global Report on Trafficking in Persons 2024』(総論および東アジア・太平洋地域)
  • 旅行者向け初動ガイド(行方不明届の手続き・注意点)

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