1. 日本の献血はなぜ無料なのか?
「献血はタダです」「お金はもらえません」とよく言われますが、
なぜそんな仕組みになっているのでしょうか?
実はこれ、日本の歴史の中で大きな事件があったからなんです。
日本では現在、
“血液はお金で売買してはいけない”
という法律があり、すべての血液は ボランティア(献血) で集められています。
2. 昔の日本は「血液がお金で売られる時代」だった
今では信じられませんが、
1960年代まで日本では 血液をお金で売る「売血」制度 がありました。
働き口が少ない時代、生活のために
「血を売って生活費を得る」人が大勢いたのです。
しかし、この制度には大きな問題がありました。
3. 売血で起きた悲劇:感染症が大量発生した
売血には、次のような危険がありました。
● お金欲しさで何度も血を売る → 体が弱る
● 栄養状況の悪い人の血 → 質が悪い
● 適切な検査ができずウイルス混入
その結果…
👉 梅毒、肝炎などの感染症が大量発生
特に「輸血後肝炎」が社会問題になり、
病院でも「買った血は危険だ」と警告が出るほどでした。
1964年のルポ「売血の実態」で問題が一気に社会へ広まり、
国が動き始めます。
4. 国が「売血は禁止!」と方向転換した
売血で大きな被害が出たことを受けて、政府は方針を転換。
■ 1964年
厚生省が「血液は無償献血を原則とする」と通知
■ 1969年〜
無償献血へ本格的に移行し、売血制度は徐々に廃止
5. 1990年代のHIV被害が決定打になった
1990年代には、
非加熱血液製剤によるHIV感染事件 が起きました。
これにより、
- 血液を“商品扱い”すると安全管理が崩れる
- 利益目的の流通は危険
が再確認されました。
6. 2003年「血液法」で血液の売買を禁止
この事件をきっかけに、国は血液の扱いを法律で厳格化。
👉 2003年「血液法」が施行
その中に
『血液は人命に関わる特別な物質であり、売買してはならない』
と明記されました。
つまり…
★ 血液を売る → 禁止
★ 血液を買う → 禁止
★ 供給は献血のみ → 国のルールになる
こうして「無料献血」は完全に制度として確立しました。
7. 無料にすると血液は“安全になる”
WHO(世界保健機関)も公式に
「無償の献血が最も安全」 と発表しています。
理由はシンプルで…
● お金目的だと無理をして血を売る
● 隠し事(感染歴など)をする人が出る
● 血液の質が下がる
逆に、
8. 世界を見ると、日本は多くの先進国と同じ仕組み
日本が無償献血なのは特別ではなく、
イギリス・フランス・韓国・オーストラリアなど
多くの国が同じです。
理由は同じく
- 売血は危険
- 無償が最も安全
という世界的な結論があるからです。
ちなみに、有償提供が認められているのはアメリカの「血漿(
輸血用血液(赤血球)は無償です。
9. 日本は献血が不足しつつあるという課題も
日本は少子高齢化が進んでいて
献血者は減り、輸血を必要とする高齢者は増える
という構図になっています。
今後は
- 若い人に献血を知ってもらう
- 正しい情報を広める
- 安全な献血体制を続ける
ことがより重要になります。
10. まとめ:なぜ日本は献血が無料なのか?
最後にもう一度、理由を簡単にまとめます。
✔ 過去に売血が原因で感染症が多発した
✔ 「血液は売ってはいけない」と国が方向転換
✔ 1990年代のHIV事件で安全管理が強化
✔ 2003年の血液法により売買が禁止された
✔ 無償献血のほうが安全であることが世界的に証明されている
◆ 一言でまとめると?
日本の献血が無料なのは、「お金で血液を売ると危険だから」。
そして法律で“無償献血しか認めない”仕組みになっているから。




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