イオン・ライフ・マルエツ・コープの制度比較とキャリア戦略
▼ はじめに
食品スーパーで働いていると、こんな声をよく聞きます。
「いつかは本部で働きたい」
「店舗ではなく、商品開発やバイヤーに挑戦したい」
「でも、どうしたら本部に行けるのか分からない」
「制度が曖昧で、不公平なのはイヤだ」
実際、スーパー業界では、
- 店舗スタッフ(接客・品出し・発注)
- チーフ/主任(部門責任者)
- 副店長/店長
- 本部スタッフ(バイヤー・MD・企画)
というキャリアラインがあるものの、
店舗→本部に行く道は“なんとなく”語られるだけ
という会社も多いです。
しかし近年、小売業界全体で
公平で透明性のある本部登用制度が整いつつあります。
本記事では、
- 本部に上がるためのしくみ
- 実際の企業制度
- 不公平にならない制度の作り方
- 店舗で何をすれば評価されるか
- 未経験でも本部職を狙う戦略
を、初心者にもわかるように解説します。
▼ 1. そもそも「本部」って何?
まず、「本部」とは何をする場所なのか?
店舗経験しかないとイメージできない人も多いので整理します。
本部の主な仕事
| 専門領域 | 具体業務 |
| 商品部(バイヤー) | 仕入れ、品揃え、価格設定、交渉、PB開発 |
| MD(マーチャンダイジング) | 売場企画、販促戦略、棚割り、季節展開 |
| 営業統括部 | 店舗支援、SV、運営ルール整備 |
| 店舗開発 | 新店立地、店舗設計、改装計画 |
| 人事・教育 | 採用、研修制度、評価制度 |
| 広報・マーケティング | 広告、SNS、PR |
| DX・システム | POS、アプリ、AI発注、業務改善ツール |
本部の役割とは?
店舗が売れる状態を“設計”するチーム
店舗は「戦場」、本部は「司令部」。
どちらも欠かせない役割です。
▼ 2. なぜ本部登用制度が注目されているのか?
今、小売業界では「本部に上がる仕組み」が重要視されています。
理由は3つ。
① 労働人口減少で“人材育成”が急務だから
即戦力を外から取るより
社内で優秀な人を育てる流れが強い。
② 店舗経験者こそ本部で活きるから
机上の空論では店舗は動かない。
現場を理解している人材が必要。
③ 不公平感をなくすため
「店長に気に入られたから本部」
「タイミングが良かっただけ」
こんな不満を排除し、
評価×実績×テストで選抜する流れ。
▼ 3. 各社の本部登用制度を比較
食品スーパー大手5社から、制度の方向性を整理します。
◆ イオン
特徴:公募制+自己申告+評価制度
- 年2回キャリア申告
- グループ内公募制度あり
- 多様な職種に挑戦可能(商品・DX・教育など)
意欲ある人がチャンスを掴める制度設計
◆ ライフ
特徴:階層教育+評価ランク+異動
- 店舗→チーフ→副店長→店長→本部
- 部門別研修・評価制度
- 実績+コミュニケーション+リーダー性重視
現場力+人間力重視のスタイル
◆ マルエツ
特徴:役職任用+人事異動型
- 部門責任者→店長候補→本部
- 経営判断で任命されるスタイル
店舗実績と推薦のバランス
◆ コープ
特徴:推薦→試験→面接の明文化
- 総合職登用制度
- 筆記+面接+評価
- 本部登用ルートが明確
公平性・透明性の高い仕組み
◆ その他(オーケー・マックスバリュ等)
特徴:等級制度+評価+推薦
- 職能等級制度
- 昇格試験
- 経験と評価の複合判断
小売標準モデルに近い
▼ 4. “誰でも上がれる”を防ぐ仕組み
スーパー各社に共通するのは、
不公平感をなくす評価制度。

評価ポイント
| 項目 | 内容 |
| 等級制度 | グレードごとの能力基準 |
| 評価ランク | 半年or年次評価 |
| 昇格試験 | 筆記/面接/実績提出 |
| 推薦制度 | 上司評価・人事審査 |
| 公募制度 | 本人の意思表明 |
| キャリア面談 | 目標・志望申告 |
努力した人がチャンスを掴む仕組みが整備中
▼ 5. 実際に本部へ行く人の特徴
✅ 店舗数値に強い
- 粗利管理
- 廃棄管理
- 人件費コントロール
- 売上改善
✅ 教育とチームづくりが得意
- パートさんと信頼関係
- 指示だけでなく育成できる
✅ 新しいことに挑戦できる
- 新企画
- 新売場
- 業務改善
✅ 伝える力がある
- 報連相の質が高い人が強い
本部は「通信機関」なので、
伝達力・論理力は重要です。
▼ 6. 本部を目指すロードマップ
ステップ① 店舗で評価を高める
- 部門責任者を目指す
- 数字とチームマネジメント
ステップ② 意思を伝える
- キャリア面談で申告
- 公募制度が出たら応募
ステップ③ 実績を積む
- 売場改善提案
- 人材育成
- コスト管理
ステップ④ 面接・試験対策
よく聞かれる質問:
- なぜ本部で働きたい?
- どんな改善を行った?
- どんな成果を数字で証明できる?
▼ 7. 未経験でも本部へ行ける?
✅ 行けます(実例あり)
- 新卒から教育部配属
- 大学でマーケティング・情報学専攻
- EC・SNS部門採用
ただし、
店舗経験者が強く信頼される場面が多い
▼ 8. 逆に“落ちやすい”人の特徴
- 店で不満ばかり言う
- 指示されないと動けない
- 指導が乱暴(パワハラ気味)
- 数字に弱い
- 本部の仕事を軽く見る
本部は現場を尊重する姿勢が命
▼ 9. 現場スタッフへのアドバイス
✅ 本部は「偉い場所」ではない
役割の違いです。
- 店:最前線
- 本:戦略・サポート
上下ではなく左右の関係
▼ 10. まとめ
| 結論 | 内容 |
| 制度は存在 | 公募・試験・評価・推薦 |
| 公平性あり | 「誰でも上がれる」は防止 |
| 店舗経験は強い武器 | 数字+人材育成+改善提案 |
| 大切なのは意志 | 希望を出さないと始まらない |
本部は“選ばれる人”ではなく“努力で掴む場所”




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