🔷 1. 日本企業の現在地:グローバルな半導体サプライチェーンで不可欠な存在
日本企業は「半導体そのものの製造」ではなく、「素材」「装置」「プロセス技術」の分野で高い競争力を持ち、グローバル企業にとって不可欠なパートナーとなっています。
🔷 2. 分野別で見る日本企業の活躍
◆ 材料分野(シェア世界トップ多数)
企業名 | 主な製品 | 世界シェア |
---|---|---|
信越化学 | シリコンウェーハ | 約30% |
SUMCO | シリコンウェーハ | 約25% |
JSR | フォトレジスト(感光材) | 約30% |
東京応化工業 | 高純度化学材料、フォトレジスト | 上位 |
昭和電工 | CMPスラリー、絶縁膜材料など | 上位 |
💡 ポイント:世界の半導体製造に欠かせない「高純度・高精度素材」で日本企業がシェア50~70%を握っている製品が多数。
◆ 装置分野(製造装置・検査装置)
企業名 | 主な製品 | 世界シェア |
---|---|---|
東京エレクトロン | 成膜装置、エッチング装置など | 世界3位 |
SCREEN HD | 洗浄装置 | 世界1位 |
日立ハイテク | 電子顕微鏡、検査装置 | 上位 |
アドバンテスト | 半導体テスト装置 | 世界2位 |
💡 ポイント:ASML(オランダ)やアプライドマテリアルズ(米)に次ぐ地位を確立。
◆ ファウンドリ進出と再強化(半導体製造)
ラピダス(Rapidus)
2022年設立。トヨタ・ソニー・NTTなどが出資。
ポスト5nm世代の最先端半導体(2nm)の国産化を目指し、北海道・千歳に工場建設中。
2027年の量産開始を目標。
IMEC(ベルギー)やIBMとの連携で技術力を補完。
🔷 3. なぜ日本企業が注目されているのか?
✅ 地政学的リスク(台湾有事への備え)
台湾TSMCへの依存度が高すぎることに対し、日本を安全な製造拠点として再評価。
✅ 米国との経済・安全保障連携
アメリカのCHIPS法に連携する形で、日本も**「半導体・デジタル産業戦略」**を策定し補助金支援。
TSMC・サムスン・マイクロンなどの海外勢が日本に進出。
例:TSMC熊本工場(JASM)
✅ 環境対応・高品質需要への適応力
日本の装置・素材は高い信頼性と品質管理が求められる領域で特に評価が高い。
🔷 4. 政府の支援と戦略
経産省の主導で「国家戦略特区」「GX人材育成」「半導体戦略室設置」などを推進。
最大1兆円規模の補助金がTSMCやラピダス、ソニー、キオクシアなどに供給。
人材育成・研究拠点の強化(大学・高専との連携)。
🔷 5. 日本半導体復活のカギ
要素 | 解説 |
---|---|
✅ 最先端技術獲得 | 海外企業との連携(IBM、TSMC、IMECなど)で技術導入 |
✅ 人材育成 | 高度技術人材の国内確保が急務。留学生・研究者の活用も重要。 |
✅ 国内市場の育成 | AI・自動運転・IoTなどの国産技術と連携した需要の創出 |
✅ 持続的な国策支援 | 政府が短期で終わらず、10年単位の戦略をもって支援し続けること |
🔷 6. 今後期待される日本企業の動き
ラピダス:量産成功すれば、世界のトップファウンドリに一角入りの可能性。
東京エレクトロン・SCREEN:AI半導体や先端製造で需要拡大。
キオクシア(旧東芝メモリ):NAND型フラッシュメモリでサムスンと激戦。
🔷 まとめ:日本は“縁の下の力持ち”から“再挑戦の主役”へ
日本企業は今や、半導体そのものを大量生産するのではなく、
素材や装置で“世界トップ”
国家戦略で“最先端製造にも挑戦”
という 「質の高い技術と安全性」を武器に再浮上の気配を見せています。
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