① 問題になっている給付金制度の仕組み
障害者就労支援と「加算金」
障害者福祉では、
その支援の成果が出た場合、事業所に対して 「加算金(加算給付金)」 という形で国・自治体から支給されます。
代表的なのが 「就労移行支援体制加算」 という仕組みです。
これは、利用者が企業などで一定期間(例:半年以上)
→ 支援内容が評価される形の報酬として制度上認められています。
② 疑惑の指摘内容(報道ベース)
加算金の「過大請求」の可能性
2025年11月の複数メディア報道によれば、
絆ホールディングス傘下の事業所で この加算金の仕組みが意図的に“制度の穴”を利用していた可能性 が指摘されています。
具体的には以下のような手法が、
「契約だけを切り替える手法」
ある事業所では、同じ利用者が 仕事内容も環境も変わらないのに、
就労形態(契約の種類)だけを 6 か月ごとに切り替えていた とされています。
具体例:
| 期間 | 実態 | 契約形態 |
| 1〜6ヶ月 | 同じ作業 | A型就労支援 |
| 7〜12ヶ月 | 同じ作業 | 一般雇用 |
| 13〜18ヶ月 | 同じ作業 | A型就労支援 |
| 19〜24ヶ月 | 同じ作業 | 一般雇用 |
同一事業所
同一作業内容
契約形態だけ変える
※ こうした切り替えを繰り返すことで、 加算の対象になる可能性を“
過大請求額は「数十億円規模」と指摘
報道では、この加算金の受給額が 「数十億円規模」になる可能性 があると報じられています。
ただし、具体的な確定金額は報道段階であり、
③ なぜこれが問題になるのか?
加算金の趣旨
加算金制度は本来、
利用者が安定した就労に移行した
障害者の自立支援が実績として出た
という 成果として支給されるもの です。
実際の就労継続や支援成果がなければ、
疑問点と指摘
絆ホールディングスの事例で指摘されているのは、
同じ利用者を “再び加算対象” にするためだけに
「契約形態の切り替え」を利用していた可能性
実際の就労成果とは異なる形で
給付金が積み増されていた可能性
という点です。
これが事実であれば、
④ 大阪市の対応と背景
この問題を受けて、
※具体的には市内1,600以上の事業所に対し、
大阪市側の調査は、
加算金対象としてカウントされた人数
加算金の請求が制度ルールに沿っているか
同一利用者の重複カウントが行われていないか
といった点を確認する目的で実施されています。
⑤ 会社側(絆ホールディングス)の公式コメント
絆ホールディングスは2025年11月に:
一部メディア報道について
→ 事実確認を進めている
→ 法令を遵守し、障害のある方々の支援に取り組む
という趣旨のコメントを発表しました。
(報道されている「疑惑」
⑥ 「確定事項」と「疑惑」の違い
| 項目 | 状況 |
| 疑惑内容 | 加算金を制度の“穴”を利用して受給した可能性 |
| 報道根拠 | 元職員の証言・一部取材記事 |
| 公式見解 | 事実確認中として詳細発表なし |
| 行政対応 | 大阪市による全事業所調査着手 |
| 確定処分 | 現時点ではなし |
※つまり、まだ 「不正受給が確定した」
まとめ:なぜこの問題が注目されるのか
給付金(加算金)は 利用者の支援成果として支給されるべきもの。
その趣旨に反する可能性が報道で指摘されている点が、
契約形態だけを変えて制度上の「実績」を作っていたのではないか
結果として 数十億円規模の給付金が支給された疑い
大阪市が全事業所に調査を行う事態に発展
この疑惑は、
加算金制度の仕組みとルールをわかりやすく解説【図解あり】
そもそも「加算金制度」とは?
障害福祉サービスにおける 加算金制度 とは、
👉 障害のある利用者が「より良い就労成果」を出した場合に、事業所へ上乗せで支給される報酬 のことです。
単に利用者を預かるだけではなく、
一般企業への就職
就職後の定着
自立につながる成果
が出た場合に、成果報酬として国・自治体から支払われる仕組みです。
図解①:本来の加算金制度の流れ(正しい使われ方)
正しい制度の流れ(シンプルに)
1️⃣ 障害のある方が 就労移行支援・A型事業所 を利用
2️⃣ 支援を受けながらスキル・生活リズムを整える
3️⃣ 一般企業に就職
4️⃣ 一定期間(例:6か月以上)継続勤務
5️⃣ その成果に対して
👉 事業所へ「加算金」が支給される
📌 ポイント
「就職できた」だけでは足りない
継続して働けているか が重要
代表的な加算金の例
就労移行支援体制加算(代表例)
利用者が一般就労に移行
一定期間、就労が継続
条件を満たした人数に応じて加算
👉 実績が多い事業所ほど報酬が増える仕組み
なぜ「加算金制度」が必要なのか?
理由は明確です。
✔ 障害のある人の 社会参加を促す
✔ 「就職させるだけ」の形骸化を防ぐ
✔ 本当に成果を出している事業所を評価する
つまり、
「支援の質」を高めるための制度
として設計されています。
図解②:問題視されている「疑惑の構図」
疑惑として報道されている構図(簡略化)
❌ 実態は変わらない
同じ事業所
同じ作業内容
同じ環境
⬇
📄 契約形態だけ変更
A型就労 → 一般就労
一般就労 → A型就労
⬇
📄 「新たな就労移行実績」としてカウント
⬇
💰 加算金が再び発生
何が問題なのか?(核心)
本来の前提
加算金は
👉 「実質的な就労成果」 に対して支払われるもの。
疑惑で問題視されている点
実際の就労内容・環境が変わっていない
利用者の自立度が上がったわけではない
それでも 制度上の形式だけで成果扱い されていた可能性
📌 つまり
制度の趣旨(自立・定着)と、実際の運用が乖離していたのではないか
という点が最大の問題です。
なぜ「不正」と言われる可能性があるのか?
ここが非常に重要です。
制度の文言上はグレー
しかし 制度の目的から見れば不適切
というケースは、行政分野では珍しくありません。
判断基準はここ
✔ 実態が伴っているか
✔ 支援成果が本当にあったか
✔ 利用者の利益になっているか
これらが否定されると、
👉 「過大請求」「不正受給」と判断される可能性 が出てきます。
行政が調査に乗り出した理由
大阪市が全事業所調査に動いた背景には、
一事業者だけの問題ではない可能性
制度そのものの運用チェック
税金の使途として妥当か
という 制度全体の信頼性 の問題があります。
この制度問題が社会的に重要な理由
❗ 税金が原資
❗ 支援を必要とする障害者が関係
❗ 制度が歪むと、本当に支援が必要な人に届かなくなる
だからこそ、この問題は
一企業の不祥事で終わらない可能性 があるのです。
まとめ|加算金制度は「善意前提」で成り立っている
加算金制度自体は 必要で意義のある制度
しかし、
成果の定義
実態確認
行政チェック
が甘いと、制度の悪用や形骸化が起こり得る
今回の疑惑は、
👉 福祉制度の構造的な弱点を浮き彫りにしたケース
として注目されています。






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