〜なぜ起こる?どう防ぐ?医療の仕組みでやさしく解説〜
はじめに
夜寝ているときや、運動中に「足がつりそう!」と感じたこと、
それは「腓返り(こむらがえり)」と呼ばれる**筋けいれん(
激痛が走る前に、
今回は、医学的にどうして起きるのか、
腓返りが起きる医学的なメカニズム
腓返りとは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋など)が異常に収縮し、
体の中では次のようなことが起こっています
① 神経の「誤作動」
筋肉を動かす神経(運動神経)が過剰に興奮し、「縮め!」
本来は「縮む→緩む」を繰り返すのですが、
② 電解質(ミネラル)バランスの乱れ
筋肉は「電気のスイッチ」で動いています。
そのスイッチに必要なのが「ナトリウム」「カリウム」「
汗や脱水、偏った食事などでこれが崩れると、
ミネラル | 役割 | 不足したとき |
カルシウム | 筋肉を縮める | けいれんが起きやすくなる |
マグネシウム | 筋肉をゆるめる | 筋肉が固くなる |
カリウム | 水分バランス調整 | むくみ・けいれん |
ナトリウム | 神経伝達を助ける | 疲労・だるさ |
「つりそう」と感じたとき、体の中で起きていること
- 筋肉内の酸素と栄養が不足
- 神経が「もう動くな」と伝えたいのに信号が届かない
- 結果、筋肉が「暴走」してピクピク反応
この段階で止められれば、本格的なけいれん(痛み)を防げます。
前兆を感じたときの即対応法(医学的ステップ)
ステップ①:
筋肉をゆっくり伸ばす
筋肉が縮もうとする力に対して、
これは「伸展反射」という生理的な反応を利用した方法です。
方法:
- 膝を伸ばす
- つま先を自分の方へゆっくり引く(足首を反らす)
- 15〜30秒キープして、ふくらはぎを伸ばす
痛みが出るほど無理に伸ばさず、「気持ちいい程度」
ステップ②:
温める
血流が悪いと、筋肉はよりけいれんしやすくなります。
温めることで酸素と栄養が届き、緊張がほぐれます。
おすすめ:
- 蒸しタオルを当てる
- ぬるめのシャワーをかける(38〜40℃)
- 靴下やレッグウォーマーで冷えを防ぐ
ステップ③:
深呼吸+水分・ミネラル補給
焦って呼吸が浅くなると、筋肉の酸素が減って悪化します。
ゆっくり深呼吸しながら、
おすすめの飲み物:
- ミネラルウォーター(マグネシウム入り)
- スポーツドリンク
- 白湯(寝る前にも◎)
腓返りを繰り返す人に多い医学的要因
頻繁に起こる場合は、体のどこかに原因があるケースも。
要因 | 代表的な原因 |
電解質の異常 | 脱水、利尿剤の使用、慢性下痢 |
血行不良 | 動脈硬化、冷え性、長時間同じ姿勢 |
神経障害 | 糖尿病性神経障害、脊椎疾患 |
ホルモン変動 | 妊娠、更年期、甲状腺機能低下症 |
内臓疾患 | 肝臓・腎臓疾患による代謝異常 |
医師に相談する目安
- 週に何度もつる
- 両足同時につる
- 安静時でも頻発
→ 内科・整形外科・神経内科の受診をおすすめします。
医学的にも効果がある栄養素
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
マグネシウム | 筋肉の弛緩 | アーモンド、豆腐、海藻、納豆 |
カルシウム | 筋肉の収縮を安定化 | 牛乳、小魚、チーズ |
カリウム | 電解質のバランス | バナナ、ほうれん草、アボカド |
ビタミンB1 | 神経伝達をサポート | 豚肉、玄米、にんにく |
再発を防ぐ5つの習慣(医療的おすすめ)
- 就寝前のストレッチ(ふくらはぎを軽く伸ばす)
- コップ1杯の水分補給(白湯がベスト)
- お風呂で血行促進(シャワーだけで済ませない)
- 足元の保温(冷えは最大の敵)
- 疲労をためない・睡眠を確保する
まとめ
腓返りは「筋肉の電気信号の暴走」が原因。
でも、前兆を感じたときに “伸ばす・温める・深呼吸+水分” の3ステップを行えば、
痛みを伴うけいれんを防ぐことができます。
医学的にも「筋肉と神経のバランスを整える」ことが最も大切。
日常の小さな習慣で、夜中のつりをほぼ防ぐことができます。
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