🧾 第2回:なぜ財源が崩壊するのか ― 「税」と「支出」の関係を可視化する

話題

―お金の流れを知らずに政治は語れない―

1️⃣ はじめに:「財源」って、そもそも何のこと?

ニュースでよく耳にする「財源がない」という言葉。

でも、実際のところ「財源」って何を指しているのでしょうか?

簡単に言うと、

財源=国が政策を行うために必要なお金の“出どころ”

です。

政府が社会保障、教育、防衛などの支出をするには、

必ず「どこからお金を持ってくるか」を決めないといけません。

それが「税金」「国債(借金)」「資産売却」などの形で成り立っています。

この「財源のバランス」が崩れると、

国の仕組みそのものがぐらつくことになります。

2️⃣ 日本の国のお財布は、どうなっているの?

日本の「国のお財布」は、家計と似ています。

収入(=税金など)と支出(=公共サービスなど)があり、

収入が足りなければ借金(=国債)をして補います。

💰 主な“収入”

  • 消費税:約23兆円
  • 所得税:約21兆円
  • 法人税:約13兆円
  • その他(たばこ税、酒税など):約10兆円

合計:約70兆円前後

💸 主な“支出”

  • 社会保障:約37兆円
  • 防衛・公共事業:約10兆円
  • 教育・科学技術:約6兆円
  • 国債の利息・返済:約25兆円

👉 支出はおよそ110兆円前後。

つまり、毎年40兆円以上が赤字なんです。

この差を埋めるために発行しているのが「国債(借金)」です。

3️⃣ 「税を下げてもいいじゃない」は危険な考え?

ここでよくある疑問。

「税金を減らせば国民が楽になるんだから、減らしてもいいじゃない」

もちろん一時的には助かります。

でも、それを長く続けると“国家の信用”が下がります。

なぜなら、

税金は**「国の信用を支える土台」**だからです。

家計でたとえるなら、

税金はあなたの「月給」、国債は「カードローン」。

月給が減って、カードローンばかり増えたら――

いずれ返せなくなりますよね。

4️⃣ 消費税が担っている「社会保障の重み」

消費税の大部分は、実は医療・介護・年金に使われています。

これらは“削れない支出”です。

特に高齢化が進む今、

社会保障費は毎年約1兆円ずつ増えています。

つまり、

消費税を減らす=社会保障を削る

ことと、ほぼ同義なのです。

だから、政治家が「消費税を0%にします!」と簡単に言えない理由がここにあります。

5️⃣ 「財源が崩壊する」とはどういう状態か?

この言葉、よくニュースでも聞きますよね。

実際には次のような状態を指します。

状態内容結果
① 税収減減税や景気悪化で収入が減る国債発行が増える
② 支出増高齢化・物価高で予算が膨らむ財政赤字拡大
③ 信用低下「日本大丈夫?」と投資家が不安に円安・金利上昇
④ 政策制限借金が多すぎて新政策に回せない政治の停滞

つまり「財源崩壊」とは、**“国が動けなくなる状態”**を意味します。

6️⃣ 「国債で補えばいい」という意見の落とし穴

確かに、国債を発行すれば財源は補えます。

でも、発行しすぎると次のような問題が起こります。

  1. 金利上昇リスク
    国債が増えると投資家が不安になり、
    「もっと利息を上げないと買わない」と言い出します。
  2. 通貨の信頼低下
    お金を“刷りすぎる”と、円の価値が下がり、
    輸入品が高騰。物価が上がる。
  3. 将来世代の負担増
    国債は“未来の税金”で返すもの。
    つまり、若い人の肩にツケが乗ります。

国債自体は悪ではありません。

**問題は「使い方」と「バランス」**なのです。

7️⃣ 家計にたとえるとどうなる?

あなたの家庭を想像してください。

  • 給料:月25万円
  • 支出:月35万円
  • 差額の10万円はカードローンで補う

最初は問題なくても、毎月それを続けたら――

数年後には返済額が膨らみ、生活費が圧迫されます。

国も同じです。

「今はなんとか回る」けど、「長期的には首が回らなくなる」構造なんです。

8️⃣ 「国は潰れない」けど「生活が壊れる」

日本は自国通貨(円)で国債を出しているため、

理論上“デフォルト(破産)”はしません。

ただし、**円の価値が下がる(インフレ)**という形で

国民の生活が直接ダメージを受けます。

国が潰れない代わりに、

・物価上昇

・金利上昇

・社会保障削減

という“生活の崩壊”が起こるんです。

9️⃣ では、どうすれば財源を守れるのか?

理想的なのは、

「税金を効率的に使い、成長で税収を増やす」ことです。

具体的には、

  • 無駄な補助金や事務費を削減
  • 成長産業への投資(AI・再エネ・教育)
  • 若者・子育て世帯への支援で消費を活性化

つまり、“減税”よりも“増収を生む経済政策”が必要なのです。

🔟 財源を考える=国の未来を考えること

「財源がない」というのは、単にお金が足りないという意味ではありません。

それは、「国がどこに力を入れ、どこを諦めるか」という選択の問題です。

国の財源とは、国民の信頼の総量でもあります。

税金を集めることは、国民が「この国に任せていい」と思えるかどうかにかかっています。

🪞 まとめ:「税と支出のバランス」が国の健康を決める

  • 税金を下げると一時的に楽になるが、長期的には国の体力を削る
  • 財源の崩壊とは、国が新しい政策を打てなくなる状態
  • 国債は悪ではなく、使い方次第で経済を救う
  • 最も大事なのは、「増やす・減らす」ではなく「どう使うか」

💬 国の財政も、人の健康と同じ。

一時的なダイエット(減税)より、長期的な体質改善(成長政策)が必要なんです。

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