はじめに|「誰が決めているのか分からない社会」への違和感
近年、多くの人が同じ感覚を抱いている。
「いつの間にか決まっていた」「議論した記憶がない」「でも、
ワクチン政策、SNSの言論規制、AIによる判断、
それらは政権交代や選挙結果とは無関係に、粛々と進行している。
ここで重要なのは、
これは陰謀でも偶然でもなく、
本稿では、現代世界を動かしている三つの思想――
- ゲイツ系(合理・全体最適)
- 検閲系(秩序・安定)
- マスク系(自由・分散)
この三極から、
世界がいまどのような形で「自走」しているのかを、
第1章|「自走社会」とは何か
かつて社会は、政治家が決め、法律が動かし、
しかし現在、その図式は崩れている。
今の社会はこうだ。
- 一度作られた制度やアルゴリズムが
- 政治判断を待たず
- 自動的に意思決定を積み重ねる
これを本稿では 「自走社会」 と呼ぶ。
誰かが毎回「決断」しているわけではない。
設計された仕組みが、判断を代行している。
この設計思想こそが、次章以降で述べる三つの系譜である。
第2章|ゲイツ系自走社会――合理性が社会を運転する
中心思想
ゲイツ系とは、
科学・データ・専門知を社会運営の中心に置く思想である。
象徴的人物が
ビル・ゲイツ だ。
この思想の前提は明快だ。
- 人類規模の問題は感情では解けない
- 専門家とデータが最も正確
- 全体最適は個別不満に優先する
ワクチン、感染症対策、AI医療、原子力、脱炭素。
いずれも 「個人の選好」より「社会全体の生存確率」 を優先する分野だ。
自走の仕組み
一度制度化されると、
- 数値目標
- 評価指標
- 国際合意
によって、政治的議論を介さずに前進する。
これは非常に強い。
社会が止まらない。
しかし、問題はここからだ。
- 誰が止めるのか
- 間違いに気づいた時、どう戻るのか
- 「正しさ」に異論は許されるのか
ゲイツ系自走社会は、
ブレーキの設計が最も弱い。
第3章|検閲型自走社会――秩序を守るために自由を削る
次に、ゲイツ系と重なりつつも異なるのが 検閲系 だ。
中心思想
- 社会の安定が最優先
- 誤情報は危険
- 言論は制御すべき
この思想は、特に危機時に力を持つ。
パンデミック、戦争、テロ、選挙。
「混乱を防ぐ」という大義名分のもと、
情報の取捨選択が正当化される。
自走の仕組み
現代の検閲は、もはや露骨ではない。
- 削除しない
- ただし表示しない
- 拡散しない
アルゴリズムによる 静かな検閲 が主流だ。
一度ルールが設定されると、
プラットフォームは自動で「望ましい情報空間」を生成する。
最大の危険
検閲系自走社会の最大の問題はこれだ。
「誰が真実を定義するのか」
善意で始まった検閲は、
権力と結びついた瞬間に、民主主義を空洞化させる。
第4章|マスク系自走社会――自由に任せて社会を動かす
三極目が、これらと真逆の思想だ。
象徴は
中心思想
- 中央集権は必ず腐敗する
- 言論の自由は最優先
- 間違いは議論で修正される
マスク系は、
社会を管理しないことで自走させる という発想を取る。
自走の仕組み
- 個人が発信
- 個人が判断
- 個人が責任を負う
中央の「正解」は存在しない。
多数の判断の集合が、社会の方向を決める。
強さと弱さ
このモデルは、
権力の暴走を防ぐ点で極めて強い。
一方で、
- デマ
- 扇動
- 分断
といった副作用を強く伴う。
自由は秩序を保証しない。
第5章|世界はすでに「混合型自走社会」に入っている
現実の世界は、
これら三つのどれか一つでは動いていない。
| 分野 | 主導モデル |
| 医療・公衆衛生 | ゲイツ系 |
| 気候・環境 | ゲイツ系+検閲系 |
| SNS・言論 | 検閲系 ↔ マスク系 |
| 金融・技術 | 混合型 |
社会は分野ごとに、
異なるエンジンで自走している。
問題は、
それを市民が理解していない点だ。
第6章|日本という「静かな自走社会」
日本は特異だ。
- 法的検閲は少ない
- しかし同調圧力が強い
- 制度より空気が支配する
日本は
ゲイツ系制度 × 空気検閲
という、非常に独特な自走形態を持つ。
これは暴力的ではない。
しかし、異論が可視化されにくい。
反対していないように見える社会は、
実は最も危うい。
第7章|最大の争点――誰がハンドルを握るのか
いま世界が直面している問いは、これに尽きる。
技術か
国家か
それとも市民か
自走社会は避けられない。
問題は、
その設計思想を誰が監視するのか だ。
結論|自走を止める力は「考える市民」しかない
ゲイツ系は冷たいが強い。
検閲系は安定するが危険だ。
マスク系は自由だが荒れる。
どれも万能ではない。
だから必要なのは、
どれかを盲信することではない。
自走していることを理解し、
逸脱した瞬間に止められる市民社会
これがなければ、
社会は静かに、確実に、
「選択できない方向」へ進んでいく。
自走社会の時代において、
最大の責任を負うのは政治家ではない。
考えることを放棄しない市民自身である。




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