― 地図と現実から分かる、中国が最も恐れるシナリオ ―
はじめに
「台湾有事は日本有事」
この言葉を聞いて、
違和感を覚える人もいれば、
「言い過ぎでは?」と感じる人もいるでしょう。
台湾は外国。
戦争が起きても日本とは直接関係ない――
かつては、そう考えるのが一般的でした。
しかし近年、日本政府や有識者が
あえて 「日本有事になり得る」 と発言するようになったのには、
はっきりした理由があります。
第2回では、
感情論やイデオロギーではなく、
地図と現実から台湾と日本の関係を見ていきます。
1. 台湾と日本は「想像以上に近い」
まずは、距離の話からです。
実際の距離
- 台湾 ⇄ 与那国島:約110km
- 東京 ⇄ 静岡より近い
- 天候次第では視覚的にも近さを感じる距離
つまり台湾は、
日本のすぐ目の前にあります。
仮に台湾周辺で紛争が起これば、
軍事行動・ミサイル・艦艇の動きは
確実に日本周辺海域に及びます。
「遠い外国の戦争」という認識は、
地理的にすでに成り立たないのです。
2. 台湾が重要なのは「地理」だけではない
台湾が日本にとって重要なのは、距離だけではありません。
台湾海峡は日本の生命線
- 日本のエネルギー資源
- 食料
- 原材料
その多くが、
**台湾海峡を通る海上輸送路(シーレーン)**
もし中国が台湾を掌握し、
台湾海峡一帯を実効支配すれば、
日本の貿易・エネルギー供給は
中国の影響下に置かれる
という状況になります。
中国が台湾を「絶対に手放せない」と主張する理由でもあり、
日本が「無関係ではいられない」理由でもあるのです。
3. 台湾が中国側に渡った場合、日本はどうなるのか
ここで、最も現実的なシナリオを考えてみましょう。
台湾掌握後の変化
- 中国軍の前線が一気に日本へ近づく
- 沖縄・尖閣・南西諸島が最前線に
- 日本は常時、中国の軍事圧力下に置かれる
これは、日本が突然戦争を始めるという話ではありません。
「何もしなくても安全ではいられなくなる」
という状況です。
だからこそ日本では、
「台湾有事=日本有事になり得る」
と表現されるようになりました。
4. 中国が日本の台湾発言に激しく反発する理由
中国は台湾を
「中国の一部であり、内政問題」
と位置づけています。
そのため日本が台湾について語ること自体を、
中国の内政への介入
と受け取ります。
しかし、ここには中国側の本音も透けて見えます。
中国が本当に嫌がっていること
- 日本が台湾の重要性を理解し始めた
- 日本世論が台湾問題を自分ごと化している
- 日本が米国と足並みを揃える可能性が高まっている
特に中国が警戒しているのは、
日本が「傍観者」をやめることです。
5. なぜ「今」この話が日本で語られるようになったのか
日本が急に強気になったわけではありません。
背景には、
積み重なった現実があります。
- 尖閣周辺での中国公船の常態化
- 香港での一国二制度の形骸化
- 台湾への軍事的圧力の増大
これらを見て、日本国内では
「何かあってから考えるのでは遅い」
という意識が、
少しずつ共有され始めたのです。
6. 台湾問題の本質は「日本の覚悟」を問う問題
台湾問題は、
単なる対中批判やイデオロギーの話ではありません。
それは、
- 日本は自国の安全をどう守るのか
- 現実から目を背け続けるのか
- それとも備えるのか
という、日本自身への問いでもあります。
中国が日本の台湾発言にこれほど神経質になるのは、
日本が「現実から目をそらさなくなった」兆しを
感じ取っているからに他なりません。
第3回予告
第3回
日本の防衛力はどこまで変わったのか?
― 「専守防衛」の現在地と、中国が恐れる理由 ―
次回は、
「日本は戦争をする国になるのか?」
という不安について、事実ベースで解説します。




コメント