【2026年最新】民間の医療保険は本当に必要?高額療養費制度と傷病手当金だけでどこまで備えられるか徹底シミュレーション

節約、投資

こんにちは、ミギーです☆彡

小売店の販売員をしながら、日々の節約や思ったことをブログに書いています。

みなさんは「医療保険」に入っているでしょうか。そして、自分が入っている医療保険の保障内容を、正確に説明できるでしょうか。

正直に言うと、僕はまったく把握していませんでした。就職したときに会社の先輩や保険の窓口ですすめられるがまま、なんとなく「入っておけば安心」という理由だけで契約していたんです。

そんなの知らないよ・・ とりあえず入ってればいいんでしょ?

でも、あるとき家計を見直していて「そもそも自分にとって民間の医療保険は本当に必要なのか?」という疑問がわいてきました。両学長の書籍などでもたびたび指摘されている内容ですが、実は会社員が加入している公的な健康保険には、想像以上に手厚い保障が用意されています。

この記事では、実際に僕自身のケース(30代後半・専業主婦の妻・子どもあり・月収手取り約21万円)をモデルに、

  • 病気やケガで高額な医療費がかかったとき、公的な健康保険で実際にいくらカバーされるのか
  • 働けなくなったときに、傷病手当金でどれくらいの収入が保障されるのか
  • 2026年8月から始まる高額療養費制度の改正で、負担額はどう変わるのか
  • それらを踏まえたうえで、民間の医療保険は本当に必要なのか

を、数字を出しながら徹底的に検証していきます。結論を先に言うと、僕は自分が入っていた民間の医療保険を解約しました。その理由も含めて、最後まで読んでいただければ、きっとご自身の家計にとって医療保険が必要かどうかの判断材料になるはずです。

目次

  1. なぜこの記事を書いたのか|僕が医療保険を解約した理由
  2. 会社員が入っている「健康保険」とは何か
  3. 高額療養費制度を徹底解説(2026年8月改正対応)
  4. 傷病手当金を徹底解説|働けなくても最長1年6ヵ月もらえるお金
  5. 病気療養中でも避けられない支出|健康保険料・年金保険料
  6. 【実例シミュレーション】月100万円の医療費がかかったらどうなるか
  7. それでも民間の医療保険が必要なケースとは
  8. 民間の医療保険が「不要」と考えられるケースとは
  9. 医療保険を見直す・解約するときの注意点
  10. まとめ|浮いたお金をどう活かすか

第1章 なぜこの記事を書いたのか|僕が医療保険を解約した理由

まず結論からお伝えします。僕は自分が加入していた民間の医療保険を解約しました。理由はシンプルで、「自分の家計にとっては必要ないと判断したから」です。


月々5,000円ぐらいの支払いだし、それを払わなくなって病気になったら心配だよ。 解約したいけど、どうなんだろう?

家族もいるし、不安な気持ちはよくわかるよ。ただ、実際に健康保険でどれぐらいの金額がカバーされるか知っている? それを理解してから、民間の保険が必要かどうかを考えてみてもいいと思うよ。

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多くの人が「保険は入っておかないと不安」という感覚だけで契約し、そのまま何年も見直さずに払い続けています。僕自身もそうでした。しかし、家計を見直すうえで大切なのは「感覚」ではなく「数字」です。

具体的には、次の2つの数字を知ることが出発点になります。

  • 支給されるお金(傷病手当金):働けなくなったときに1ヵ月あたりどれくらいのお金が公的保険から支給されるか
  • 自分が支出する医療費(高額療養費制度活用時の上限):どれだけ高額な治療を受けても、自己負担が一定額以上にはならないという上限額

このふたつを理解しないまま「なんとなく不安だから」という理由で民間の保険料を払い続けるのは、家計にとって非効率な場合があります。逆に、この2つを理解したうえで「それでも自分には民間保険が必要だ」と判断するなら、それは納得感のある選択になるはずです。

この記事では、実際に僕がケガや病気をした場合に支払われる費用について、

  • 国から支給されるお金
  • 自分が支出する医療費

の計算方法を、できるだけわかりやすく解説していきます。

第2章 会社員が入っている「健康保険」とは何か


まず質問なんだけど、 「健康保険」ってどんな制度か知ってる?


そんなの、よく知らないよ。 会社からもらえる青い保険証ってことしか知らないなぁ。

2-1. 健康保険の基本的な仕組み

健康保険は、被保険者(会社員本人)とその被扶養者(家族)に対して、

  • 労働災害以外の病気やケガ
  • 出産や死亡

について保険給付を行う公的な制度です。会社員なら毎月の給料から天引きされている「健康保険料」が、この制度の原資になっています。病院にかかったときに窓口での支払いが3割負担で済んでいるのは、この健康保険のおかげです。

2-2. 健康保険の中でも「病気のとき」に使われる2大給付

健康保険にはさまざまな給付内容がありますが、特に病気やケガをした際に重要になるのが次の2つです。

給付名内容
高額療養費制度1ヵ月の医療費の自己負担を一定額に抑える制度
傷病手当金病気やケガで働けなくなったときに支給される生活保障の給付金

会社員として健康保険に加入していれば、これら2つの制度を自動的に利用できる権利があります。追加の申し込みや保険料負担なしに、すでに「保険」に入っているとも言えるわけです。

2-3. 健康保険が優れている理由

会社員であれば強制加入となる健康保険には、次のようなメリットがあります。

  1. 国が運営している保険なので安心感が抜群:民間の保険会社と違い、制度の運営主体が破綻するリスクを心配する必要がほぼありません。
  2. 高額療養費制度と傷病手当金が組み合わさることで、月々の支払額を抑えつつ収入も一定程度保証される:治療費の負担と、収入減少の両方をカバーしてくれる設計になっています。

一方でデメリットもあります。先進医療など、公的医療保険の対象外となる治療については、健康保険ではカバーされません。先進医療にかかる技術料は全額自己負担となるため、こうした特別な治療を望む場合は別途検討が必要です。この点については、厚生労働省が先進医療の概要を公開しているので、気になる方は確認してみてください。

2-4. モデルケースの設定

ここからは、実際に数字を使って計算していきます。今回のモデルケースは次の通りです。

  • 年齢:30代後半
  • 家族構成:専業主婦の妻、子ども1人
  • 月収手取り:約21万円(標準報酬月額29万円前後を想定)

この数字をもとに、実際にどれくらいの給付が受けられるのかを見ていきましょう。あなた自身の給与水準に置き換えて読み進めていただくと、より実感が湧くはずです。

第3章 高額療養費制度を徹底解説(2026年8月改正対応)

3-1. 高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、簡単に言うと「たとえ治療費がどれだけ高額になっても、一定額以上の負担は国が肩代わりしてくれる」という、非常にありがたい制度です。

実際にこの制度を使えば、仮に1ヵ月の医療費が100万円かかったとしても、自己負担額は一定の上限に抑えられます。実際の医療費と自己負担上限額との差額は、この高額療養費制度によって補填される仕組みです。

3-2. 自己負担限度額の計算式(70歳未満・現行)

70歳未満の方の1ヵ月あたりの自己負担限度額は、所得区分(標準報酬月額)に応じて次の計算式で算出されます。年収約370万〜770万円の一般的な会社員(区分ウ)の場合は以下の通りです。

自己負担限度額 = 80,100円 +(総医療費 − 267,000円)× 1%

たとえば、僕のケース(標準報酬月額29万円、1ヵ月の総医療費が100万円)で計算すると、

80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1% = 80,100円 + 733,000円 × 1% = 80,100円 + 7,330円 = 87,430円

100万円の医療費がかかっても、実際の自己負担は87,430円で済むということです。差額の91万円以上は、健康保険から補填されます。

3-3. 所得区分別の自己負担限度額一覧(現行)

自分の給与水準がもっと高い、あるいは低いという方のために、所得区分ごとの計算式を一覧にまとめました。

所得区分(年収の目安)自己負担限度額(現行)
区分ア(約1,160万円以上)252,600円+(医療費−842,000円)×1%
区分イ(約770万〜1,160万円)167,400円+(医療費−558,000円)×1%
区分ウ(約370万〜770万円)80,100円+(医療費−267,000円)×1%
区分エ(〜約370万円)57,600円(定額)
区分オ(住民税非課税世帯)35,400円(定額)

このように、所得が高い人ほど自己負担限度額も高く、逆に所得が低い人ほど負担が軽くなる、応能負担の仕組みになっています。

3-4. 【重要】2026年8月から自己負担上限額が引き上げられる

ここで、この記事を書くうえでどうしても触れておきたい最新情報があります。高額療養費制度の自己負担上限額は、2026年8月から段階的に引き上げられることが決まっています。

改正後の所得区分別の上限額は次の通りです。

所得区分現行2026年8月〜増額幅
区分ア(約1,160万円以上)252,600円+α270,300円+α約+17,700円
区分イ(約770万〜1,160万円)167,400円+α179,100円+α約+11,700円
区分ウ(約370万〜770万円)80,100円+α85,800円+α約+5,700円
区分エ(〜約370万円)57,600円61,500円約+3,900円
区分オ(住民税非課税)35,400円36,900円約+1,500円

※「+α」の部分は「(総医療費−基準額)×1%」で計算される上乗せ分です。

僕のモデルケース(区分ウ)で言えば、2026年8月以降は月100万円の医療費がかかった場合の自己負担が87,430円から約93,130円前後に引き上がる計算になります。 住民税が課税されている世帯の場合、変更後の上限は約7%増加する見込みです。

さらに、2027年8月からは、年収約370万円以上の所得区分がさらに細かく分けられる予定</cite>で、区分によってはより負担が増えるケースも想定されています。

一方で、朗報もあります。今回の改正では、月単位の上限に加えて「年間上限」という仕組みが新設されます。長期間にわたって高額な治療が続く方向けに、区分ウであれば年間53万円という上限が設けられ、それを超えた分は後日払い戻されるようになります。長期療養が必要な人にとっては、むしろ保障が手厚くなる側面もあるということです。

なお、当初検討されていた改正案では自己負担上限を70%超も引き上げる案が議論されていましたが、患者団体などからの反対を受けて、最終的には最大でも約38%の引き上げ(2027年8月時点)に圧縮された経緯があります。医療保険制度は今後も見直しが続く分野なので、最新情報は都度チェックすることをおすすめします。

3-5. 「多数回該当」でさらに負担が軽くなる仕組み

高額療養費制度には、直近12ヵ月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降の自己負担限度額がさらに下がる「多数回該当」という仕組みもあります。

区分ウの場合、通常は月8万円台の上限が、4回目以降は44,400円まで下がります。長期入院や継続的な治療が必要な人には、非常にありがたい制度です。今回の改正では、この多数回該当の上限額は2026年8月時点では据え置きとなっており、長期療養者への配慮がなされています。

3-6. 限度額適用認定証を使えば窓口での支払いも抑えられる

高額療養費制度は、通常はいったん窓口で3割分を支払ったあとに、あとから差額が払い戻される仕組みです。しかし、事前に加入している健康保険組合や協会けんぽに申請して「限度額適用認定証」を取得しておけば、最初から窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。急な入院や手術が決まった場合は、この認定証の申請を忘れないようにしましょう。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

第4章 傷病手当金を徹底解説|働けなくても最長1年6ヵ月もらえるお金

4-1. 傷病手当金とは

病気やケガで会社を休み、事業主から十分な報酬を受けられない場合に支給されるのが「傷病手当金」です。全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、傷病手当金は病気休業中の被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度とされています。

つまり、病気やケガで働けなくなり、給料が支払われない、あるいは減額される状態になったときに、生活費の一部を公的保険がカバーしてくれる仕組みです。

4-2. 支給額の計算式

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の計算式で算出されます。

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 ×(2/3)

直近12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均し、その額を30で割り、さらに3分の2(約66.7%)をかけた金額が1日あたりの支給額</cite>になります。おおむね「月給の3分の2」がもらえるとイメージしておくとわかりやすいでしょう。

僕のケース(標準報酬月額29万円)で計算すると、

1日あたりの金額:290,000円 ÷ 30日 ×(2/3)= 約6,444円 1ヵ月あたりの金額:6,444円 × 30日 = 193,320円

このお金が、最長で1年6ヵ月にわたって支給されます。

なお、入社や転職して間もなく、健康保険の加入期間が12ヵ月に満たない場合は、通常の計算方法と、協会けんぽ全体の平均標準報酬月額(2025年4月以降は32万円が基準)のどちらか低いほうの額で計算される点も覚えておくとよいでしょう。

4-3. 支給期間について

傷病手当金は、病気やケガで休んだ期間のうち、最初の3日間(待期期間)を除いた4日目から支給が始まります。支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。

以前は「支給開始日から最長1年6ヵ月」という連続した期間でカウントされていましたが、令和4年1月の制度改正により「通算」で1年6ヵ月に変更されました。これにより、一度職場復帰したあとに再び同じ病気で休業した場合でも、以前休業していた期間を除いた「残りの期間」を利用できるようになり、より柔軟な制度になっています。

4-4. 傷病手当金が支給される条件

傷病手当金の支給を受けるためには、主に次の条件を満たす必要があります。

  • 業務外の病気やケガによる療養であること(業務中や通勤中のケガは労災保険の対象)
  • 療養のために仕事に就くことができない状態であること
  • 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
  • 休業した期間について、給与の支払いがない、または傷病手当金の額より少ないこと

なお、任意継続被保険者(退職後も同じ健康保険を任意で継続している方)は、原則として傷病手当金の対象外となる点にも注意が必要です。

4-5. 退職後も受給できるケースがある

一定の条件を満たせば、退職後も傷病手当金の継続受給が可能です。具体的には、資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日時点で現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることが条件になります。ただし、一度就労可能な状態に回復したあとに再び働けなくなっても、傷病手当金は支給されません。退職を控えていて療養中の方は、この条件を事前に確認しておくことを強くおすすめします。

第5章 病気療養中でも避けられない支出|健康保険料・年金保険料

働けなくなり収入が減っても、支出がゼロになるわけではありません。特に見落とされがちなのが、病気で休職中でも発生し続ける「社会保険料」の支払いです。

傷病手当金を受給している間も、健康保険料と厚生年金保険料は原則として免除されません。給与から天引きされる形ではなくなるため、多くの場合、休職者本人が会社経由で納付する形になります。

僕のケース(標準報酬月額29万円)で試算すると、

  • 健康保険料:おおよそ13,860円前後
  • 厚生年金保険料:おおよそ26,535円前後

合計すると、毎月およそ4万円が、収入がなくても発生する固定支出として必要になる計算です。保険料率は都道府県や年度によって変動するため、正確な金額は加入している協会けんぽや健康保険組合の最新の保険料額表で確認することをおすすめします。

この社会保険料の負担があることを忘れて「傷病手当金だけで生活費は十分」と考えてしまうと、実際に休職したときに資金繰りで慌てることになりかねません。次の章で、これらすべてを組み込んだ総合的なシミュレーションを行います。

第6章 【実例シミュレーション】月100万円の医療費がかかったらどうなるか

ここまで解説してきた「高額療養費制度」「傷病手当金」「社会保険料」を組み合わせて、実際に大きな病気にかかった場合の家計への影響を総合的にシミュレーションしてみます。

6-1. 前提条件

  • 年齢:30代後半、会社員
  • 標準報酬月額:29万円(月収手取り約21万円相当)
  • 家族構成:専業主婦の妻、子ども1人
  • 想定:ある病気にかかり、1ヵ月の総医療費が100万円、かつ1年6ヵ月間まったく働けなくなった場合

6-2. 医療費の自己負担(高額療養費制度・現行)

項目金額
1ヵ月の総医療費1,000,000円
高額療養費制度適用後の自己負担額87,430円
健康保険がカバーしてくれる金額912,570円

6-3. 収入面(傷病手当金)

項目金額
1ヵ月あたりの傷病手当金193,320円
最長支給期間1年6ヵ月(18ヵ月)
支給総額(満額受給の場合)約347万9,760円

6-4. 療養中でも発生する固定支出

項目金額
健康保険料13,860円
厚生年金保険料26,535円
合計39,480円/月

6-5. 総合すると、月あたりの収支は?

これらをまとめると、次のようになります。

  • 医療費の自己負担:87,430円/月
  • 傷病手当金による収入:193,320円/月
  • 社会保険料の支出:39,480円/月

193,320円(収入)− 87,430円(医療費)− 39,480円(社会保険料)= 66,410円

つまり、月100万円もの高額な医療費がかかり続け、かつ1年6ヵ月にわたって働けない状態が続いたとしても、公的な健康保険の保障だけで、毎月およそ6万円台のプラスが手元に残る計算になります。もちろんこれは治療内容や生活費、住宅ローンなどの固定費を含まない単純化した試算ですが、「公的保険は思っている以上に手厚い」ということが数字で見えてくるはずです。

6-6. 2026年8月の改正を反映すると

先ほど解説した通り、2026年8月以降は区分ウの自己負担上限が85,800円+αに引き上がります。同じ条件で再計算すると、

85,800円 +(1,000,000円 − 286,000円)× 1% = 85,800円 + 7,140円 = 92,940円

改正後の自己負担額は92,940円となり、現行より約5,500円増える計算です。それでも、傷病手当金と社会保険料を差し引いた月あたりの手残りは、

193,320円 − 92,940円 − 39,480円 = 60,900円

となり、依然としてプラスを維持できる水準です。制度改正によって負担が増えていく流れはあるものの、「公的保険だけでは全く足りない」という状況にまではならないことがわかります。

第7章 それでも民間の医療保険が必要なケースとは

ここまで読むと「じゃあ民間の医療保険は誰にとっても不要なのでは?」と思うかもしれません。しかし、公平のために言うと、民間の医療保険が有効に機能するケースも確かに存在します。

7-1. 先進医療を受ける可能性がある場合

高額療養費制度は、あくまで公的医療保険の対象となる治療にのみ適用されます。がんの重粒子線治療など、一部の先進医療は技術料が全額自己負担となり、治療によっては数百万円規模の費用がかかることもあります。こうした先進医療特約がついた医療保険であれば、この部分をカバーできます。

7-2. 自営業・フリーランスで傷病手当金の対象外の人

傷病手当金は、協会けんぽや組合健保など、会社員が加入する健康保険の制度です。国民健康保険(自営業やフリーランスの多くが加入)には、原則として傷病手当金に相当する制度がありません(一部自治体で独自の傷病手当がある場合はあります)。つまり、自営業やフリーランスの方は、働けなくなったときの収入保障が公的にはほとんどないため、民間の就業不能保険や医療保険で備える必要性が高くなります。

7-3. 貯蓄が少なく、急な出費に耐えられない場合

高額療養費制度は「あとから払い戻される、あるいは限度額適用認定証で窓口負担を抑えられる」仕組みですが、それでも一時的に数万円〜十数万円の支払いが発生します。手元に生活防衛資金が十分にない場合、この一時的な支出でも家計が回らなくなるリスクがあります。そうした方にとっては、月々の保険料を払ってでも、まとまった一時金が受け取れる医療保険に安心感があるのは事実です。

7-4. 個室に入院したい、差額ベッド代を気にしたくない場合

高額療養費制度の対象は、あくまで保険診療にかかる自己負担分です。個室に入院した場合の差額ベッド代や、入院時の食事代の一部、日用品費などは対象外です。入院時にどうしても個室を希望する、快適な入院生活を送りたいという価値観がある場合は、入院日額給付タイプの医療保険が役立つ場面があります。

第8章 民間の医療保険が「不要」と考えられるケースとは

一方で、次のような条件に当てはまる方は、民間の医療保険の優先順位を下げても差し支えないケースが多いと考えられます。

8-1. 会社員・公務員で、傷病手当金の対象になる人

前章で見た通り、傷病手当金は会社員にとって非常に強力なセーフティネットです。標準報酬月額に応じて、給与のおよそ3分の2が最長1年6ヵ月保障されるというのは、多くの民間就業不能保険と比較しても遜色ない水準です。

8-2. ある程度の貯蓄(生活防衛資金)がある人

高額療養費制度の自己負担上限(多くの人で月10万円前後)を、貯蓄でまかなえるだけの余裕がある場合、わざわざ月々数千円の保険料を払い続ける必要性は下がります。一般的に、生活費の3ヵ月〜6ヵ月分の生活防衛資金があれば、突発的な医療費にも対応しやすいと言われています。

8-3. 保険料を払うより、その分を貯蓄・投資に回したい人

民間の医療保険は、統計的に見れば「支払う保険料の合計」が「受け取る給付金の期待値」を上回るように設計されています(そうでなければ保険会社は成り立ちません)。これは保険という仕組み上当然のことですが、裏を返せば、健康であり続ける限り保険料は掛け捨てになる可能性が高いということでもあります。その保険料を貯蓄やNISAなどの資産形成に回すことで、長期的にはより大きな安心につながるという考え方もあります。

8-4. すでに保障が重複している人

会社によっては、法定給付に上乗せする形で独自の「傷病手当付加金」や、団体保険として医療保障を提供している場合があります。また、住宅ローンを組んでいる方は、団体信用生命保険に医療特約がついているケースもあります。すでに何らかの形で保障が重複している場合、民間の医療保険をさらに追加する必要性は低くなります。

第9章 医療保険を見直す・解約するときの注意点

「自分には不要そうだ」と判断しても、いきなり解約する前に確認しておきたいポイントがあります。

9-1. 解約返戻金の有無を確認する

貯蓄型(終身タイプ)の医療保険の場合、解約すると解約返戻金が受け取れることがあります。一方、掛け捨て型の医療保険は解約しても戻ってくるお金はありません。契約内容を確認し、解約のタイミングによって損得が変わらないかチェックしましょう。

9-2. 持病がある場合は再加入が難しくなる可能性がある

一度解約してしまうと、その後に持病ができた場合、新たに医療保険へ加入することが難しくなったり、条件が悪くなったりする可能性があります。健康なうちに見直すのは合理的ですが、「解約してから後悔しても遅い」という点は理解しておく必要があります。

9-3. 会社の福利厚生・団体保険の保障内容を確認する

解約を検討する前に、勤務先の福利厚生に医療保障や見舞金制度がないかを確認しましょう。会社によっては、休職中の給与補填制度や、団体医療保険が用意されていることがあります。こうした制度を把握せずに個人で保険に入り続けているケースは意外と多いです。

9-4. 家族全体のバランスで考える

医療保険の要否は、本人の健康保険の保障だけでなく、配偶者や子どもの状況によっても変わります。専業主婦(夫)の場合、傷病手当金や高額療養費制度の考え方は本人と同様に扶養家族にも適用されますが、世帯全体の収入源が一つしかない場合は、収入保障の手厚さをより重視する必要があるかもしれません。

9-5. 迷ったら段階的に見直す

「全部解約する」か「そのまま継続する」かの二択で考える必要はありません。たとえば、先進医療特約だけを残して主契約を見直す、保障額を減らして保険料を下げる、といった段階的な見直しも選択肢の一つです。

第10章 まとめ|浮いたお金をどう活かすか

誰にでも、病気やケガをする可能性はあります。しかし、会社員であれば誰もが加入している健康保険によって、想像以上に大きな金額がカバーされることが、ここまでの試算でお分かりいただけたと思います。

改めて、僕のモデルケースを振り返ってみましょう。

  • 月100万円もの医療費がかかる病気にかかった
  • 標準報酬月額29万円として、1年6ヵ月その病気のせいで働けず、給料がもらえなかった

という、かなり厳しい条件を想定しても、

  • 月あたりの医療費負担は、高額療養費制度を使えば自己負担額87,430円/月(2026年8月改正後は92,940円/月)
  • 月あたりの収入も、傷病手当金として193,320円/月
  • 月あたりの健康保険料と年金保険料は39,480円/月

となり、これらすべてを差し引いても、毎月およそ6万円ほどが手元に残る計算になりました。

もちろん、これはあくまで一つのモデルケースであり、実際には住宅ローンや教育費、生活水準によって必要な備えは変わります。また、先進医療を受けたい場合や、自営業で傷病手当金の対象外である場合など、民間の医療保険が有効に機能するケースも確かに存在します。大切なのは「なんとなく不安だから」という理由だけで加入し続けるのではなく、公的保険で何がどこまでカバーされるのかを正確に理解したうえで、自分の家計に本当に必要な保障を選び取ることです。

僕自身は、この試算をした結果、民間の医療保険を解約するという判断をしました。そして、浮いたお金は投資や貯蓄に回し、少しずつ資産を増やせるように取り組んでいます。将来のための資産形成については、NISA制度の活用なども含めて、また別の記事で詳しく解説していきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、みなさんの医療保険を見直すきっかけになれば嬉しいです。


参考資料

  • 傷病手当金について|よくあるご質問|全国健康保険協会
  • 高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省
  • 先進医療の概要について|厚生労働省
  • 高額療養費制度の見直しについて|厚生労働省(2026年8月・2027年8月改正)

※本記事の制度内容・金額は執筆時点(2026年7月)の情報に基づいています。高額療養費制度は2026年8月・2027年8月に段階的な改正が予定されており、最新の自己負担限度額は加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)に必ずご確認ください。また、本記事は制度の一般的な解説であり、個別の保険加入の是非を助言するものではありません。最終的な判断はご自身の家計状況に応じて行ってください。

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