どうも、おはよう、こんにちは、こんばんは、ミギーです。
最近、スーパーやドラッグストア、コンビニ、専門店などの小売業では、さまざまな経費が上がっています。
商品の仕入価格だけでなく、人件費、電気代、物流費、家賃、設備費など、店舗を営業するために必要なお金が次々と増えています。
一方で、商品の値上げによって売上金額が増えている店舗もあります。
売上が増えているなら、会社の利益も増えているように感じるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
商品価格が上がって売上金額が増えても、仕入価格や人件費、家賃などがそれ以上に上がっていれば、会社に残る利益は少なくなります。
特に人件費の上昇は、店舗の努力だけでは吸収できない大きな問題です。
今回は、人件費や家賃が上がり続ける中で、小売業はどのように利益を出していけばよいのか、会社として今後どのような対策が必要になるのかを、初心者にも分かるように解説します。
売上が増えても利益が増えるとは限らない
まず知っておきたいのは、売上と利益は別物だということです。
例えば、ある店舗が1か月に1億円を売り上げたとします。
商品の仕入れに7,000万円かかった場合、売上から仕入価格を引いた3,000万円が粗利益です。
計算すると、粗利率は30%になります。
一見すると、3,000万円も利益があるように見えます。
しかし、この3,000万円から人件費や家賃、電気代、物流費、設備費などを支払わなければなりません。
例えば、次のような経費がかかっているとします。
- 人件費1,500万円
- 家賃600万円
- 光熱費300万円
- その他の経費500万円
経費の合計は2,900万円です。
粗利益3,000万円から経費2,900万円を引くと、最終的に残る営業利益は100万円しかありません。
売上1億円に対して、利益はわずか1%です。
ここから人件費や電気代がさらに200万円上がれば、店舗は赤字になります。
つまり、粗利率が30%あっても安心できるわけではありません。
重要なのは、粗利益の金額が、店舗を運営するための経費をどれだけ上回っているかです。
商品の値上げで売上が増えても安心できない
近年は、食品や日用品の値上げが続いています。
これまで100円だった商品が110円になれば、同じ個数を販売した場合、売上金額は10%増えます。
しかし、仕入価格も上がっていれば、店舗に残る利益が増えるとは限りません。
さらに、値上げによってお客様が購入する個数を減らす可能性もあります。
例えば、以前は1回の買い物で10点購入していたお客様が、値上げ後は8点しか購入しなくなることもあります。
売上金額だけを見ると前年より増えていても、実際には販売数量や来店客数が減っているケースがあります。
そのため、会社や店舗は売上高だけでなく、次の数字を確認する必要があります。
- 販売数量
- 来店客数
- 1人当たりの買上点数
- 粗利益額
- 粗利率
- 値下げ額
- 廃棄額
- 営業利益
売上が増えているから好調とは限りません。
値上げによって見かけ上の売上だけが増えていないかを確認することが重要です。
人件費が上がると、なぜ店舗だけでは対策できないのか
人件費が少し上がる程度なら、店舗でも一定の対策ができます。
例えば、作業手順を見直したり、シフトを調整したり、売れない商品を減らしたりすることで、必要な労働時間を削減できます。
しかし、最低賃金や社会保険料などが毎年上がり続ければ、店舗の改善だけでは追いつかなくなります。
作業を減らすにも限界があります。
人を減らしすぎると、次のような問題が起こります。
- レジ待ち時間が長くなる
- 商品の補充が遅れる
- 欠品が増える
- 売場が乱れる
- 清掃が行き届かなくなる
- お客様への対応が遅れる
- 従業員の負担が増える
- 退職者が増える
人件費を減らした結果、売場やサービスが悪化し、お客様が離れてしまえば本末転倒です。
店舗側に人件費削減だけを求め続けると、
人員不足になる
↓
売場が悪くなる
↓
欠品やクレームが増える
↓
売上が下がる
↓
さらに人件費を減らす
という悪循環に入る可能性があります。
人件費が構造的に上がる段階では、店長や従業員の努力だけでなく、会社全体の仕組みを変えなければなりません。
会社として必要になる大きな対策
不採算店舗の閉鎖や統合
人件費や家賃が上がり続けると、会社はすべての店舗を維持することが難しくなります。
そこで、利益が出ていない店舗や、今後も改善が見込みにくい店舗を閉鎖したり、近隣店舗と統合したりする可能性があります。
ここで重要なのは、売上が低い店舗だけが閉鎖対象になるとは限らないことです。
売上が大きくても、家賃や人件費が非常に高く、最終的に利益が残らない店舗もあります。
会社は、店舗ごとに次のような項目を確認します。
- 営業利益
- 人件費率
- 家賃比率
- 光熱費
- 商圏人口
- 競合店の状況
- 今後の成長性
- 改装費の回収見込み
- 賃貸契約の更新時期
今後は、単純に売上が大きいかどうかではなく、将来も利益を出し続けられる店舗かどうかが重視されるでしょう。
営業時間の短縮
朝早い時間帯や夜遅い時間帯は、売上が少ないにもかかわらず、人件費や電気代がかかります。
例えば、閉店前の1時間に10万円の売上があったとしても、粗利率が30%なら粗利益は3万円です。
その時間に必要な人件費が2万円、電気代や警備費などが1万円かかれば、利益はほとんど残りません。
このような時間帯については、営業時間を短縮する方が利益を確保できる可能性があります。
会社は今後、売上だけではなく、時間帯ごとの利益を確認する必要があります。
売上があるから営業を続けるのではなく、その時間帯が本当に利益を生んでいるかを判断する考え方です。
商品数やサービスの削減
小売店では、商品数やサービスが多いほど、お客様にとって便利に見えます。
しかし、商品数が増えると、発注、品出し、値札変更、棚卸し、値下げ、廃棄などの作業も増えます。
あまり売れない商品を維持するために、多くの作業時間を使っている店舗もあります。
そのため、会社として次のような見直しが行われる可能性があります。
- 売れない商品の取り扱い中止
- 類似商品の削減
- 店舗ごとの品ぞろえ縮小
- 包装サービスの有料化
- 配送サービスの条件変更
- 電話注文や取り置きの見直し
- 過剰な販促やPOP作成の削減
- 小ロット商品の取り扱い縮小
これは単なるサービス低下ではありません。
限られた人員を、売上やお客様満足につながる仕事へ集中させるための選択です。
値上げと価格設定の見直し
人件費が上がっても、販売価格を一切変えなければ、利益は減っていきます。
そのため、会社として一定の価格転嫁が必要になります。
ただし、すべての商品を同じように値上げすると、お客様が離れる可能性があります。
会社は商品を分けて考える必要があります。
価格を抑える商品としては、牛乳、卵、米、食パンなど、お客様が価格を覚えていて、他店と比較しやすい商品が挙げられます。
一方で、利益を確保しやすいのは、次のような商品です。
- オリジナル商品
- 輸入食品
- 地域限定商品
- こだわり商品
- 惣菜
- デザート
- ワインなどの嗜好品
- 他店では扱っていない商品
他店との価格比較が難しい商品や、その店でしか買えない商品は、適正な利益を確保しやすくなります。
今後の小売業では、すべてを安く売るのではなく、安く見せる商品と利益を確保する商品を分けることが重要になります。
セルフレジや自動発注などの省人化
人件費の上昇に対応するため、セルフレジや自動発注などの導入が進むと考えられます。
主な省人化設備には、次のようなものがあります。
- セルフレジ
- セミセルフレジ
- 電子棚札
- AIによる自動発注
- 清掃ロボット
- シフト自動作成システム
- 売価変更の自動化
- 防犯カメラによる遠隔確認
- 物流センターの自動化
ただし、機械を導入すれば必ず人件費が下がるわけではありません。
セルフレジを導入しても、操作方法の案内やエラー対応、年齢確認、万引き対策などに人が必要です。
大切なのは、設備を導入したことで、実際に何時間の作業を削減できたかを確認することです。
例えば、設備導入に1,000万円かかり、年間200万円の人件費を削減できるなら、単純計算で回収に5年かかります。
会社は、導入した台数ではなく、投資金額を何年で回収できるかを考えなければなりません。
店内作業を減らし、センター作業へ移す
スーパーでは、惣菜や精肉、鮮魚などを店舗内で加工している場合があります。
店内加工は出来たての商品を提供できる一方、多くの人員や設備が必要です。
人件費が上がれば、店舗内で行っていた作業を物流センターや加工センターへ集約する動きが進む可能性があります。
例えば、センターで商品を加工し、店舗では並べるだけにすれば、店舗の作業時間を減らせます。
その一方で、出来たて感や地域ごとの商品対応が弱くなる可能性もあります。
すべてをセンター化するのではなく、効率化できる商品はセンターへ移し、店舗で作る価値が高い商品だけを残すことが重要です。
店舗ごとの仕事を本部で統一する
店舗ごとにPOPを作成したり、棚割りを考えたり、売価変更を行ったりすると、会社全体で見ると同じ仕事を何度も繰り返していることになります。
人件費が上がる中では、定型的な仕事を本部でまとめる必要があります。
例えば、次のような業務です。
- 棚割りの作成
- POPの作成
- 値札データの管理
- 販促計画
- 発注基準
- 値下げ基準
- 店舗間の商品振替
- 報告書の様式
- シフト作成の基本ルール
一方で、地域によって売れる商品やお客様の特徴は異なります。
本部ですべてを決めると、地域に合わない品ぞろえになる危険もあります。
理想は、基本的な仕事は本部で統一し、地域や店舗ごとの判断が必要な部分だけを現場に残すことです。
正社員や店長の役割も変わる
省人化が進むと、正社員や店長の役割も変わっていきます。
これまでは、品出しやレジ、発注などの日常作業を多く担当していた社員も少なくありません。
しかし、少ない人数で店舗を運営するためには、社員は単なる作業者ではなく、店舗全体を改善する役割を担う必要があります。
今後、社員や店長には次のような仕事がより求められます。
- 売上や利益の分析
- 人員配置の調整
- 作業時間の削減
- 従業員教育
- 売場改善
- 廃棄や値下げの管理
- クレーム対応
- 地域に合った商品の判断
- 本部への改善提案
社員が品出しやレジ対応に追われ続けている状態では、店舗を改善する時間がありません。
そのため会社は、社員が管理や改善に時間を使える仕組みを作る必要があります。
今後の小売業は二つの方向に分かれる
人件費や家賃が上がる中で、すべての小売店が同じ形で生き残るのは難しくなります。
今後は、大きく分けて二つの方向へ進むと考えられます。
一つ目は、徹底的に低コストを追求する店舗です。
商品数やサービスを絞り、少人数で効率的に運営し、価格の安さを強みにします。
二つ目は、高い付加価値を提供する店舗です。
他店にはない商品、専門的な品ぞろえ、質の高い惣菜、丁寧な接客などによって、価格以外の魅力を作ります。
最も厳しくなるのは、価格は安いまま、商品数も多く、サービスも多く、長時間営業を続ける店舗です。
安さ、品ぞろえ、接客、営業時間のすべてを維持しながら、人件費だけを削減するのは難しいからです。
これからの小売業には、何を残し、何をやめるのかを明確にする経営判断が必要です。
店長や店舗だけに責任を負わせてはいけない
人件費が上がったとき、会社が店舗に対して「もっと人を減らしてほしい」「作業を効率化してほしい」と求めることはあります。
もちろん、店舗側にも改善できる部分はあります。
しかし、営業時間、商品数、サービス内容、設備投資、価格設定などは、店舗だけでは決められません。
会社として、次の基準を明確にする必要があります。
- 確保すべき最低粗利率
- 店舗ごとの適正な労働時間
- 継続するサービス
- 廃止するサービス
- 営業時間を見直す基準
- 不採算店舗の判断基準
- 省力化設備の投資基準
- 値上げの基本方針
すべてを維持したまま、現場に人件費だけを減らすよう求めても、長くは続きません。
会社が何をやめるのかを決断しなければ、店舗の負担だけが増えてしまいます。
小さな改善も必要だが、それだけでは限界がある
会社全体の大きな改革が必要とはいえ、店舗での小さな改善が無意味なわけではありません。
例えば、次のような改善は引き続き重要です。
- 廃棄を減らす
- 値下げを減らす
- 売れない商品を削減する
- 発注時間を短縮する
- 品出ししやすい棚割りにする
- 忙しい時間帯に人員を集中させる
- 不要な報告や作業を減らす
- 電気の使い方を見直す
一つひとつの効果は小さくても、積み重ねれば利益改善につながります。
ただし、最低賃金や家賃が大幅に上がる場合、それだけで吸収するのは困難です。
店舗改善と会社全体の構造改革を同時に行うことが必要です。
これから会社が目指すべき経営状態
これからの小売業で重要なのは、売上を大きく伸ばすことだけではありません。
売上の伸びよりも、粗利益の伸びが大きく、さらに経費の伸びを抑えられているかが重要です。
例えば、次のような状態は良い経営だと考えられます。
- 売上は前年比103%
- 粗利益額は前年比106%
- 経費は前年比102%
- 営業利益は前年より増加
売上以上に粗利益が伸び、経費の伸びが小さいため、会社に残る利益が増えています。
反対に、次のような状態は注意が必要です。
- 売上は前年比105%
- 粗利益額は前年比103%
- 経費は前年比108%
- 営業利益は前年より減少
売上は増えていますが、経費がそれ以上に増えています。
現場は忙しくなっているのに、会社の利益は減っている状態です。
今後は、売上だけではなく、粗利益額、人件費率、家賃比率、営業利益などを合わせて見る必要があります。
まとめ
人件費や家賃、電気代などが上がり続ける中で、店舗の努力だけで利益を確保することは難しくなっています。
作業改善や廃棄削減は重要ですが、それだけでは吸収できない段階があります。
その場合、会社には次のような大きな決断が必要です。
- 不採算店舗の閉鎖や統合
- 営業時間の短縮
- 商品数やサービスの削減
- 適切な値上げ
- 独自商品の強化
- セルフレジや電子棚札などの省人化
- 店内作業のセンター集約
- 本部業務の標準化
- 正社員や店長の役割変更
これからの小売業で必要なのは、人件費を昔の水準へ戻そうとすることではありません。
人件費が高くても利益が出せる店舗構造へ変えることです。
価格、商品数、営業時間、店舗数、サービス内容を見直し、何を続け、何をやめるのかを会社が決めなければなりません。
すべてを維持しながら、人件費だけを減らし続ける経営には限界があります。
売上を増やすことだけではなく、どれだけ利益が残るかを重視する経営へ転換できるかどうかが、これからの小売業の生き残りを左右するのではないでしょうか。




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